ミラノデザインウィークでキッチンの新潮流を探る(前編)
ミラノで見た最新キッチン
デザインもAI技術も進化
ミラノサローネ国際家具見本市では、隔年でキッチンの専門見本市「エウロクチーナ」を開催する。2つのホールを使って105社のキッチンブランドやビルトイン家電メーカーが出展。
足並みを揃えるようにミラノ市街でも、キッチンブランドが新作の発表を行う。実用的で美しいキッチンだけではなく、未来のライフスタイルを象徴したコンセプト展示も少なくない。
たとえば「There is no kitchen キッチンはない、もはやそれ以上のもの」、ドイツのトップキッチンブランド、ブルトハウプはそんな宣言をした。キッチンのシステムが拡張して他の居室とシームレスにつながり、大きな空間をつくるのだ。キッチンと一体になったテーブルや調理スペースは空間の中央に据えられ、人々を集める。キッチンツールが収納できる壁、洗面コーナーやリビング収納までがシステムとして発展し、キッチンメーカーであっても室内空間すべてを同じブランドで統一できるのだ。
ブルトハウプだけではなく、多くのキッチンブランドが、暮らしの総合システムとしてのキッチンを提案していた。
bulthaup
8年ぶりにミラノデザインウィークに復活したドイツのブルトハウプ。ブレラ絵画館の中庭にパビリオンを設置。超大型のフリースタンディングキッチンでは、プロの料理人が調理デモを行い、盛り上がった。
クライス&カンパニー
https://bulthauptokyo.com/
文/本間美紀 Honma Miki(キッチンジャーナリスト)
『人生を変えるインテリアキッチン』(小学館)などの著書で、インテリアとキッチンが一体になる空間を提唱。ミラノサローネの取材歴は20年以上。近年、日本の家庭でも人気がある海外ブランドキッチンの取材も多数。
一覧はこちら:ミラノデザインウィーク探訪
[MEN’S EX Summer 2024の記事を再構成]