おすすめは新登場の“SレザパケVセレ”

990Sがなくなってもロードスターが1トンちょいの、現代的な視点からすれば超軽量のスポーツカーであることは変わらない。LSDを装備しないベーシックグレードのSで1010kg。20kgの差を公道で体感できるはずもなく、3ペダルマニュアルミッションを駆使して操ってみれば、相変わらずドライビングファンに満ちたライトウェイトオープンスポーツであると納得した。
990kgという記号性を失った今、あえてLSDなしモデルを買うという選択は、よほどの通でもない限りちょっと気乗りしないかもしれない。300万円を切る車両本体価格は十分に魅力的であるとはいうものの…。

ならばいっそ新登場の“SレザパケVセレ”(Sレザーパッケージ Vセレクション)であろう。重量だってまだ1030kgだ。ベースグレードより65万円も高くなるが、その価値は十分にある。
洒落た内外装の雰囲気に加えて、新たに装備されたアシンメトリック LSDがその価値の中心となる。難しいメカ話は抜きにして、とにかくコーナリングが安定すると思ってほしい。コーナーに差し掛かるブレーキングから旋回、そして加速しての脱出まで腰をしっかり落とし路面に密着させて抜けていく感覚を味わうことができる。視線が安定しているから、ハンドル操作にも余裕ができるのだ。電動パワーステアリングの改良もまた素直でとても滑らかなハンドリングの実現に寄与している。
最後にもう一つ嬉しい装備があった。それはRSグレードに標準でそのほかにディーラーオプションとして用意されているインダクション・サウンドエンハンサーで、ドライバーをワクワクさせる吸気音を印象的に響かせてくれる。決して高くないオプションなので必ず選んで欲しい。
文=西川淳 写真=柳田由人、マツダ 編集=iconic