GTとして快適なATはワインディングロードでも爽快感十分
2ペダルAT仕様の方がGTとしてより快適に使うことができる。何しろ高速クルージング中のエンジンフィールとサウンドもATの方が良かった。特に3000回転前後からのエンジンフィールの心地よさといったら! 世界の高級スポーツカー市場ではV6エンジンが花盛りだが、その領域の気持ち良さでは世界トップレベルだろう。
一方で、低回転域から十分なトルク性能を発揮するから、たとえ3ペダルMTであってもさほど忙しくない。左手と左足を駆使する回数は、MT車としてはかなり少ない部類だろう。特に高速道路上ではそうで、ほとんどオートマチックドライブ、3ペダルであることをすっかり忘れてしまうほど。
ワインディングロードでは、スムーズなシフトフィールとダウンシフト時に回転数まで合わせてくれるシステムのおかげで、気軽に3ペダルドライブを楽しむことができる。この時代にMTを残してくれたという決断に感謝するほかない。
とはいえ、2ペダルであってもワインディングロードでの爽快感は十分だった。むしろトルコンオートマにもかかわらず、ダイレクトな変速フィールに感心する。両手をステアリングホイールに、両足はそれぞれアクセルとブレーキに集中させて、スポーティなドライブを楽しむ方が、新型Zには正直、似合っていると思った。
文=西川淳 写真=タナカヒデヒロ 編集=iconic