フォルムからも分かるGTとしての素晴らしさ
RZ34として登場した新型フェアレディZ。その成り立ち(=前2世代の発展系)から考えると、ピュアなスポーツカーというよりはデザイン重視のGTカーだと言っていい。
とはいえ、よりちゃんとしたスポーツカーのように走らせることができるよう、限られた資産を使ってできる限りのチューニングがなされた。そういう意味では、ベースとなった旧型のZ34より明らかに動きは軽やかで楽しめる。なるほど“ダンスパートナー”というコンセプトワードは言い得て妙だろう。
2ペダルATと3ペダルMTの長距離テストを敢行した。結論から言うと、前者のほうがフェアレディZらしいモデルだった。
両仕様に共通する魅力から挙げていこう。まずは着座位置の低さだ。乗り降りしやすく視線の高い現代のクルマに慣れた人には、ドライバーズシートに座って見渡す景色全てが新鮮に映るだろう。
エンジンのオールマイティさも特筆できる。3リッターV6ツインターボのVR30DDTTは、先代までの3.7リッター自然吸気のVQエンジンはもとより、北米市場向け5リッターV8エンジンの領域までカバーする。それゆえ広く豊かなトルク特性の持ち主である上、ターボエンジンカーとしては異例に高回転域でパワフルだ。パフォーマンススペックはもちろん、優れたレスポンスという点でもフェアレディZにお似合いだろう。
意のままのステアリングフィールも新型の長所だ。交差点を曲がる時からワインディングロードを攻め込んだ時まで、常にドライバーの意に沿って動く。ゆっくり切り始めても、素早く切り込んでも、クルマの反応が素直で自然、正確だ。前輪だけじゃない。後輪へと伝えられるエンジン性能の反応の良さ=アクセルレスポンスの誠実さもまたハンドリングに好影響を与えている。アクセルコントロールで向きを変えていく感覚などは実に気持ちいい。ハンドリングを楽しむことのできる領域=スイートスポットがとても広いことも特徴だった。
街中一般道から高速道路まで、全般的に乗り心地も良い。フロントアクスルの動きにはしっかり感と忠実感の両方が程よくミックスされ、応答の良い後輪の駆動力と相まって、ドライバーとの一体感の演出が実にうまい。
グランドツーリングカーとしてももちろん、大納得の仕上がりだった。フロントウィンドウ越しのフロントフェンダーは直進の保ちやすさに寄与するし、追い越し車線に移ろうとするたびに見えるミラー越しのリアフェンダーはドライバーを常にワクワクさせる。新型Zのフォルムがすでに素晴らしいGT性能の現れだった。