木下酒造
時間と温度により醸される「長期熟成酒」
「流行に左右されない、自信に満ちたお酒ですね」――藤井さん
イギリス出身のフィリップ・ハーパーさんは、天保13(1842)年創業の木下酒造で杜氏を務めている。「自然仕込」と名付けた昔ながらの酵母無添加の生酛(きもと)と山廃(やまはい)の酒造りを始めた。そして造られた「玉川」の魅力のひとつは、時間軸や飲む温度帯での味の変化を楽めることだという。
新酒が出来た時にしぼりたての無濾過生原酒として一部出荷するが、多くは蔵内で寝かせ、熟成酒として出荷している。開封後に味の変わりようを楽しむのも一興だ。リピーターの中には、購入後に自宅の押し入れで数年寝かせて、自分好みの熟成酒に仕込む人も。
「日本酒のようにいろんな温度帯で飲める酒は世界でも稀少です。酒は嗜好品なので、自分の好きなスタイルで多様に楽しんでもらえたら嬉しいです」(ハーパーさん)「自分たちがいいと思うものを信じて、流行に左右されずにヴィンテージを作るって、ぐっとくるものがあります」(藤井さん)
ハーパーさんの就任当時は隣町が一番遠い取引先だったが、今では国外の取引先も増え、輸出量は毎年増加しているそうだ。
木下酒造
住所:京都府京丹後市久美浜町甲山1512
TEL:0772-82-0071
営業時間:9時~17時
定休日:1月1日 そのほか臨時休業あり
酒蔵の見学はできないが、隣接する直営店で試飲可能