[お直し例② オーダーしたジェイエムウエストンはヘビロテで瀕死の状態…]
修理サンプル②
約7年間、春夏のエース靴として活躍してきたジェイエムウエストンの180ローファーはオーダーした特殊カラー。茶系を部所を替えツートーンにしたもの。ウエストンのローファーは丈夫で型崩れしづらいという靴のポテンシャルに甘え、ヘビロテで履き込みすぎ、瀕死の状態に陥ってしまった一足。
大野 2足目は、お見せするのが恥ずかしいほど履き込んでしまったローファーです。
久保 これはかなりの重症ですね……。実際にお送りいただいて細部をチェックしてみないと分かりませんが、できる限りトライしてみます!
①アッパーの革のヒビ割れと革の色味
〔Before〕長年履き込んでシワから乾燥によるヒビ割れが進行しており……、そして元々明るいブラウン、タンカラーのツートーンでオーダーしたものですが、汚れやシミで最初の色が分からなくなってしまい……
②腰裏とインソール
〔Before〕踵部分は特に長年脱ぎ履きすることで擦れが……。
③アウトソール
〔Before〕ウエストンのレザーソールは減りにくいというのに甘え、限界まで履いてしまいました……。
[約2週間後──]
大野 久保さん!このお直しには本当に脱帽です。経験値と想像力がないとここまで美しく修復することはできないですよね。
久保 喜んでいただきありがとうございます。愛用されていることは靴からも伝わってきました。私自身、久々の大手術で腕が鳴りました!
大野 アッパーの革の割れが見事に目立たなくなっているのは驚きでした。
久保 まずは全体の汚れを洗浄液で入念に落とし、ひび割れた部分には柔軟剤を加え、柔らかくしたのちに、裂け部分には、革に相性のいい樹脂を埋めて、乾かし、表面を馴らしたのち、革を染料で染色。これを何度も繰り返します。今回は革の状態が悪く、傷も深くて、限界はありましたができる限り、違和感が出ないように仕上げました。
大野 色の補色も素晴らしいですね!元々の色が分かりづらかったと思いますが、ウエストンらしい色をブレンドして再現しているのが凄いと思いました。
久保 あえてユーズド感は生かすことを目標に、ウエストンのパターンオーダーの修理で何度も拝見した経験と、比較的色抜けや損傷していない部分を参考に仕上がりイメージを決めて、色を調合し、色が薄い部分から手染めを繰り返し重ねていきました。最後は左右の甲の部分に違いがありましたので、違和感のないよう、エイジングをキープし、自然な仕上がりになるよう努めました。
大野 美しい計算されたヴィンテージ感は唯一無二でとっても嬉しいです! 腰裏も特殊な直し方に見えますが。
久保 まずカウンターの傷みが激しかったため、革で穴を補修しました。通常の腰裏修理ではなく、縫い目が出ていないローファーに適した仕様にすべく、本体のヒールカップの型を取り、摩耗に適した腰裏用の革を成形したのち、手作業で縫い付けして仕上げていきました。中敷きは損傷が激しく消耗品でもありましたので、今回、交換したことでブランドロゴはなくなりましたが、靴に合った色味のものを使用することで、特に違和感はないですね。また靴を清潔に保つことができますので定期的な交換がお勧めです。
大野 嬉しいご配慮、感動です! オールソール交換もウエストンの純正に近い再現力ですね。
久保 底を外した際、中底の損傷が激しかったため、中底全体に特殊な補強材で補強を施し、傷んでいたシャンクも交換すべく、再作成したのち、底の仕上げはウエストンの特徴である、グッドイヤーの縫い目が出ない、切り込みタイプの仕上げにしました。
大野 正直、ここまで綺麗に蘇るとは想像つきませんでした。お直し料金は全て直すとそれなりの金額になりますが、オーダーした一足ということで、オンリーワンなウエストンの価値は、私にとってはプライスレス。これからは大切に履き、適宜メンテナスをしながら10年後も現役で履けたら嬉しいと思っています。久保さん本当にありがとうございました!
[お直し料金]
アッパー破れ、クレンジング、染色で1万9800円、
腰裏8690円、
中敷き交換3740円、
オールソール交換2万2000円
合計5万4230円
※全て税込価格。






