クワトロだけでなく内外装にアウディらしさを演出
ボディサイズは、全長4990mm、全幅1965mm、全高1415mm、ホイールベース2900mmと、タイカンに比べて全長は25mmほど長いがそのほかはほぼ同じだ。真横から見たルーフラインなどのシルエットもとてもよく似ている。アウディの特徴といえる、凝った意匠のLEDライトやシングルフレームグリルを模したフロントバンパー、抑揚のあるリアのブリスターフェンダーなどによって、タイカンとは一線を画すデザインになっている。
インテリアデザインはアウディの最新トレンドに則ったもの。メーターにはデジタルのバーチャルコックピットを、センターには10.1インチのタッチスクリーンを配している。最新のEVゆえに大きなiPadのようなスクリーンに操作系を集約したようなものを期待する人もいるかもしれないが、そういう点で見れば奇抜なものではなく内燃エンジンモデルとそれほど違いはない。そこには使用頻度の高いものは物理スイッチのほうが使いやすく安全であること。また既存のアウディオーナーが乗り換えた際に、操作にとまどうことがないといった狙いもあるようだ。
シートはレザーのスポーツシートのほか、いまどきのSDGsを考慮したペットボトルや漁網などをリサイクルしたクロス素材を使用するレザーフリーパッケージがオプションで用意される。いまアウディに限らず国産メーカーなどもこうしたリサイクル素材の活用に積極的に取り組んでいるが、課題のひとつとしてコストがあげられる。このレザーフリーパッケージの価格は30万円だが、あえてレザーをやめるという、なかなかに洒落た選択だと思う。ちなみに個人的には質感や座り心地もこちらのほうが好みだった。
「e-tron GT quattro」はアウディらしくクワトロ(4WD)のみで、ベースモデルとハイパフォーマンスなRSモデルの「RS e-tron GT」の2グレードだ。総電力量は93.4kWhの駆動用バッテリーをフロアに配し、フロントとリアアクスルそれぞれに2基のモーターを搭載し、4輪を駆動する。リアに2速のトランスミッションを組み合わせ、システム電圧は800Vである構成などもタイカンと共通のものだ。
システム出力は、350kWでローンチコントロ—ル使用時は390kWにまでアップ。最大トルクは640Nm。一方のRS e-tron GTは、440kWでローンチコントロ—ル使用時は475kW。最大トルクは830Nmとなっている。一充電走行距離はベースモデルもRSモデルも共通の534km(WLTCモード)となっている。