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AIや高精度マップなどの進化で安全な場所へと退避可能に

公道試乗会の様子
公道試乗会の様子。試験車はMAZDA3ファストバックが用いられた。

「1.0」では、ドライバーの異常、居眠りを検知。警告しても反応がない場合、高速道路では車線を維持し、減速停止。場合によっては路肩退避を行う。一般道では車線を維持し、減速停止。いずれのケースでもハザード・ストップランプとホーンを使って車外(他車や通行人)に報知し、コールセンターへの自動緊急通報を行う。

「2.0」では、“予兆検知”機能が備わる。これは3個のパラメータ(運転操作、頭部挙動、視線挙動)で、総合的に異常予兆を検知・判断するというもの。大脳の機能低下で起こる意識的な行動の変化や、 脳幹の機能低下で起こる無意識的な人の反応の変化を元に、異常予兆を検知するといったマツダ独自の技術だ。さらにはAIや高精度マップなどの進化により状況に応じて車線変更を行い、また路肩に駐車車両などがいる場合は、自動で回避行動を行うという。

モニタリングのデモ画面
こちらはモニタリングのデモ画面。ドライバーの頭部の動きやペダル操作などを検知している。

今回、東京・台場で、「マツダ・コ・パイロット2.0」相当の機能をもったマツダ3の公道試乗会が開催された。これらはあくまで自動運転技術の公道実証実験の一環であり、警視庁が定めるガイドラインに則って、マツダのテストドライバーが運転する車両の助手席での体験となった。

中央分離帯寄りの第2走行車線を走行しているシーンでドライバーの異常を検知しシステムが起動すると、センターモニターに警告表示が出され、ホーンとハザードが作動し、同乗者を安心させるよう安全な場所でクルマを停止させる旨の音声ガイドが流れる。

クルマは左側や後方のカメラで安全を確認の上、第1走行車線に車線変更。その後、減速して停車する。助手席側から人の降車や車外からの救助を想定して、路肩から約70cmの位置にとまるよう設定されているという。路肩に駐車車両がいるシーンや、幹線道路から交通量の少ない脇道への退避なども体験したが、いずれも非常にスムースな作動で不安に感じる場面もまったくなかった。

ドライバーが運転できない状態
ドライバーが運転できない状態のため、システム作動中は“自動運転”の状態となる。

自動運転というと米SAEの基準による“レベル2”や“レベル3”といった呼称を耳にする。それらは使用に際してさまざまな条件がつけられているが、このマツダの機能は定常的な自動運転のためではなく、あくまで緊急時のものであり、導入に対しての法律的な課題はすでにクリアしているという。

近年高齢者の運転が問題視される一方で、運転を止めた人は運転を続けている人と比較し、要介護認定のリスクが2.16倍と高くなり、運転をしていた高齢者は、運転をしていなかった高齢者と比べて認知症のリスクが37%減少といったデータもあるという。

マツダが目指すのは、ドライバーに代わって機械が運転する自動運転ではなく、副操縦士(コ・パイロット)が見守ることにより、ドライバーの走る歓びを大切にしながら安心・安全を実現する技術。未来の自動運転ではなく、まさにいまの時代に求められるものだ。

文=藤野太一 写真=マツダ 編集=iconic

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