感覚はフォーミュラーカーに近い
バタフライナイフのように開くディヘドラルドアを跳ね上げ、コクピットに滑り込む。晴れてきたとはいえ、路面はまだ濡れそぼっている。慎重にアクセルペダルを踏み込み、クルマの動き方と路面の状態を確かめるようにステアリングホイールを左右に振ってみた。
めちゃくちゃ、軽い! 手足の先に重量をほとんど感じない。わずかな質量も全てが腰の周りに巻きついているように錯覚する。言ってみれば腰にクルマという形のベルトを巻いている感覚だ。こんなクルマに乗ることは初めての経験、否、そういえば近い感覚を知っている。フォーミュラーカーがそうだった。
低速域で分かったことはそれだけじゃなかった。ほとんどレーシングカーのようなマシンであるにもかかわらず、乗り心地がかなり良い。もちろん、マクラーレンといえば前述の12Cでスーパーカー界に”乗り心地改革“をもたらしたブランドだ。ある程度の良さは予想できたものの、想像を超えてきた。スパルタンな雰囲気とはかけ離れてコンフォート。これなら晴れさえすればいつでも乗ることができそうだ。