公道も走れるレーシングカー「ランボルギーニ ウラカンSTO」の真の実力を検証する

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公道も走れる“レーシングカー”、ランボルギーニ ウラカンSTOの真の実力とは?

もはや“レーシングカー”の公道仕様

ランボルギーニ ウラカンの最新モデル“STO”は、歴代ウラカンのなかでもっともパフォーマンスが高く、もっともレーシングカーに近い存在といっていいだろう。

STOはスーパー トロフェオ オモロガータ(Super Trofeo Omologata)の頭文字。スーパー トロフェオはランボルギーニが主催するワンメイクレースの名称で、オモロガータはイタリア語で認証を意味する。つまり、スーパー トロフェオ用のレーシングカーをベースとし、公道走行に必要な認証を得たモデルが、このウラカンSTOということになる。

ウイング
手動で調整可能な2枚のウィングを用いて、空力バランスとドラッグを最適化するウィングを採用した。

なるほど、リアウィングは巨大で、とてもロードカー用とは思えない。しかも、このリアウィング、よくよく見るとボディから伸びたステーがウィングの上面に固定されていることに気づくはず。これはスワンネック(白鳥の首)と呼ばれるもので、最新のレーシングカーでは一般的なテクノロジーとして知られる。なぜウィングの下面ではなくて上面を支えているかといえば、ウィングがダウンフォースを発生するうえで重要な役割を果たしているのは上面よりも下面だから。そこで、ウィング下面の形状をできるだけスムーズに仕上げ、最大の空力効率を得るために、このような手の込んだ形状にしているのだ。

フロントボンネット/フェンダー/バンパーを1つのコンポーネントとしたコファンゴ
軽量化のため、フロントボンネット/フェンダー/バンパーをひとつのコンポーネントとしたコファンゴ(Cofango)を採用。

フロントセクションのボンネット、フェンダー、バンパーがひとつのパーツで構成されていて、これら全体をがばっと大きく開けられるデザインもレーシングカーの世界ではお馴染みのもの。これは部品点数を減らすことで軽量化に役立つほか、ボディパネルのつなぎめを減らせるので空力効率が高まり、信頼性を向上させることにも結びつく。また、ボディパネルが大きく開くことから、メンテナンスの作業効率が高まることも期待できる。いずれもレースの世界では重要とされることばかりだ。

エンジン
最高出力640ps/最大トルク565Nmを発生する自然吸気V10エンジンをリアミッドに搭載、後輪を駆動させる。

ウラカンの魂というべき自然吸気5.2リッターV10エンジンは標準仕様の610psから640psへとパワーアップ。最大トルクも5Nm増えて565Nmとされた。このハイパワーを受け止めるべく、スプリング、ダンパー、アンチロールバー、ブッシュはよりハードなスペックのものに置き換えられたほか、タイヤは専用開発のブリヂストン・ポテンザ・スポーツを装着。さらにサーキット走行用に同じブリヂストンのポテンザ・レースというタイヤまで用意されるという。なお、ウラカンSTOはレーシングカーに準じて後輪駆動とされている点も注目される。

ランボルギーニ ウラカンSTOランボルギーニ ウラカンSTO
外装パネルの75%以上をカーボンとするなどの軽量化により、ペルフォルマンテより43kg軽い、乾燥重量1339kgを実現。ホイールもマグネシウムが用いられている。

レーシングカーに必要不可欠な軽量化についても抜かりなく、インテリアを軽量なレーシングタイプに変更したほか、ウィンドウスクリーンはより薄型のものに、ホイールはマグネシウム製に置き換えることで、ウラカン・ペルフォルマンテより43kgも軽い1339kgの乾燥重量を実現した。

ランボルギーニ ウラカンSTO
リアボンネットにはエンジンルームの空冷効果を高めるエアスクープを装着。ダウンフォースを高めるリアフェンダーにはエアインテークが組み込まれている。

ブレーキシステムもCCM-Rと呼ばれる専用品。F1用ブレーキシステムのテクノロジーを受け継いだCCM-Rは制動能力が従来品に比べて25%高く、減速Gを7%向上させることに役立つという。さらに熱耐性が60%も高いので、より過酷な条件でも安定した制動力が得られる。また、このCCM-Rの能力を最大限に発揮させるため、ブレーキの冷却系統も大幅に設計し直された。

ランボルギーニ ウラカンSTO インテリア
カーボンとアルカンターラを使用したインテリア。ドアの開閉もストラップで行う。

もっとも、ウラカンSTOのドライバーズシートに腰掛けた際の印象は、従来のウラカンと大きく変わらない。シートにはリクライニング機構が組み込まれているほか、クッションも十分に厚いので、一般公道を走るのも苦にならないだろう。

ただし、後方を振り返ると、その印象は一変する。なにしろ、X字状に組まれた極太のロールケージがドライバーの直後に装備されているうえ、リアウィンドウに相当する部分はルーバーで覆われているので、ルームミラー越しに後方を確認するのは不可能。したがって、最新のレーシングカーでは常識となっているリアビューカメラがなければ、公道を走るのは難しいだろう。

2024

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