ラインナップは2型。潔すぎるジャケット専業ブランド
Digging Out THE NEW CLASSIC BRANDS (4)
JACKET(ジャケット)
常識の先入観を通してみれば、極めて異色な存在ということになるのだろう。まず「ジャケット」というブランド名からしてフツウじゃない。展開するアイテムはジャケットだけ。それも現状は「001」、「002」という2モデルのみのラインナップだ。固定観念を打ち破るブランドと評したくなるが、宮本氏によればごく自然な流れを経てこういう形になったのだという。
「シーズンという概念はなく、こういうものを作りたい!と思い立ったときからものづくりを始めるんです。ですので、ブランドを始めたのも“こういうジャケットがあればいいのに”という自分自身の思いがきっかけでした。今は1年に1型のペースで新作を出していますが、今後はもっと増えるかもしれないし、そうでないかもしれません」
ブランドを立ち上げるきっかけになったもののひとつは、西野大士氏が手がける「NEAT」のパンツだったという。友人ということもあり、かねてからNEATを愛用していた宮本氏だったが、ある日“これをセットアップで着られたら”と思い立つ。ならば、上衣を作ってしまおう。こうして生まれたのが第一作「001」(❶)であり、同時にジャケットというブランドも誕生したというわけだ。
「NEATのパンツとセットアップにもできるジャケットということで、生地はパンツと同じ4色のコットンカルゼを採用することに決めていたのですが、形やデザインをどうしようかと思案しました。そこで思い当たったのが、お気に入りのヴィンテージジャケットだったんです。1920〜’30 年代の英国で着られていたスモーキングジャケットで、本来は喫煙時のリラックスウェアでした。しかしこれが後にタキシードの原型となって、礼服として進化していったという興味深い歴史を備えたアイテムです。つまり、ボウタイを結んだフォーマルスタイルから休日カジュアルまで着られる正統な理由を備えたジャケットというわけで、これこそ今、自分が求めていたものだと確信するに至りました。こうして『001』が誕生したんです」