フルサイズサルーンの常識を覆すようなスポーティなハンドリング

アウディのフラッグシップ・スポーツサルーンであるS8のベースはA8。そしてA8といえばアウディが誇る軽量ボディ構造のASF(アウディ・スペース・フレーム)とフルタイム4WDのクワトロがお約束の装備。これらのキーワードを聞いて、自然と思い浮かべる言葉がある。それは、スポーティだ。
軽量ボディがスポーティな走りに役立つのはいうまでもない。ちなみに、アウディのミッドシップスーパースポーツカーであるR8もやはりASFを採用している。A8とS8はともにフルサイズサルーンだが、そこに軽量ボディゆえのスポーティさが走りに滲み出てきたとしても不思議ではない。いや、そうでないほうが納得できないというものだろう。
もうひとつのクワトロは、1980年に発表されるやいなや、それまでのどちらかといえば地味だったアウディのブランドイメージを現在のようなハイテクかつスポーティなものに一新したことで知られる。WRC、各国のツーリングカーレース、そしてル・マン24時間などで勝ち取ってきた栄冠の数々が、モータースポーツにかけるアウディの情熱をなによりも雄弁に物語っている。

したがって歴代A8は必ずといっていいくらい、同時期のライバルに比べてスポーティな味わいがより鮮明。わずかなステアリング操作にも的確に反応し、やや硬めのサスペンションとあってハードコーナリングでもバツグンの安定性を誇ってきた。もちろん、快適性もある程度は確保されていたが、フルサイズサルーンの常識を覆すようなスポーティなハンドリングこそ、A8最大の特徴だったといって間違いない。