それら2つの違いをあえて述べるなら、すべてにおいて最高峰を追求し、価格も2万5000円(当時の大卒初任給の約2倍)と最高峰のグランドセイコーに対し、比較的手の届きやすい高級時計として誕生したのがキングセイコーということになるだろうか。しかしながら、キングセイコーはけっしてグランドセイコーの廉価版というわけではなく、異なる生産拠点にて独自に生み出された渾身の高級時計なのである。
機能とデザインが進化したセカンドモデル(KSK・44KS)
1961〜64年まで生産されたファーストに代わり、64年には第2世代のセカンドモデルが登場する。この第2世代からはファーストになかった秒針規制(ハック機能)が加えられ、キングセイコー+“規制”の頭文字をとって「KSK」と呼ばれた。また、手巻きキャリバー44系が搭載されたことから「44KS」の名でもファンに親しまれている。
他にセカンドモデルでは、裏蓋がスクリューバック仕様となって防水性能が向上。デザイン面では文字盤の12時位置にセイコーロゴを立体的な植字で配し、ベゼルやラグも多面的でエッジの立ったモダンかつシャープなスタイルへと進化している。
68年まで続いた第2世代には、カレンダー機能付きの「KSSK」や、非公認ながらクロノメーター基準を満たした「KSCM」などのバリエーションも。比較的現存数が多く、またその端正なデザインにファンも多いことから、キングセイコーの典型的なスタイルとされるのがこのセカンドモデルである。