この辺りは農業用道路が主だ。地元のクルマに気を遣いつつ、コンチネンタルGT V8のドライブをさらに楽しんでみることに。
アイスという名の透明感溢れるホワイトカラーをまとい、要所要所をブラックスペシフィケーションで引き締めたビッグクーペは、みるからにドライバーズカーだった。贅沢なコクピットに座れば、否が応にも気分は盛り上がる。すでに500km程度も共にしたパートナーであるにもかかわらず、もっと走らせたいという気持ちが勝っているのだ。
V8のエンジンノートが徐々に逞しく山間にひびき始めた。ドライブモードを最も好みの“B”、つまりクルマにお任せ、からスポーツへと切り替える。いっそう引き締まったアシと刺激的なエグゾーストノートがドライバーの心をさらにかき立てた。
所々狭い箇所があったにもかかわらず、ダム沿いのワインディングロードをコンチネンタルGT V8はひらりひらりと駆け抜ける。ときおり対向車も飛び出してくるけれど、意のままのハンドリングと確かな制動で、さほどストレスなくすれ違える。思うままに動かせているという確かな実感があるからだ。
加速フィールは野太いサウンドと相まってスリリングのひと言。コンチネンタルGTといえばW12ツインターボを積むグレードが真っ先に思い浮かぶが、8気筒に乗れば乗ったで「ベントレーといえば8発だよな」などと得心する。12気筒のあのウルトラスムースなパワーフィールも捨てがたいけれど。
多くの自動車好きが絶賛する乗り心地と運動性能
コンチネンタルGTは確かにグランドツーリングカー的な性質の濃いモデルである。けれども最新型の、なかでもこのV8グレードは、新たなFRプラットフォームと4WDシステムを得て、よりスポーツカーらしく振る舞わせることもできるようになった。
そのことはスタイリングからすでに表れていて、機会があれば見比べて欲しいのだが、以前のモデルに比べると最新モデルの前輪の位置が明らかに前へと移動していることがわかる。つまり、それだけエンジンの位置もセンターに近づき、前輪の動きの自由度も上がっているというわけだ。
それゆえ、ちょっと厳しいコーナーワークが続いたとしても、最新のコンチネンタルGTであればスポーツカーのように自信を持って駆け抜けることができる。重量配分の良さがそうさせているのだろう、とにかく余分な予期せぬ車体の動きが抑え込まれているため、どんなコーナーであってもリズミカルに抜けていけるのだ。
これは、スポーツドライビングのみに効いているのではなく、運転しやすさにもつながっている。慣れない人でもすぐに扱えるようになるのはそのためだ。