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熟成を極めた“かつてのテイスト”

ランドローバー ディスカバリー4
国内では2009年6月に予約受付を開始。価格はベーシックなSEが673万円、充実装備のHSEが793万円とされていた。

ディスカバリー4をピックアップしたのは、以前のランドローバーテイストが色濃く残り、その熟成を極めたモデルだからにほかならない。2009年に発売された4世代目モデルは、3世代目モデルのプラットフォームを流用しながら、日常における使いやすさやアッパークラス感を味わえる乗り味などを大きくブラッシュアップさせていた。

ディスカバリー3が登場したのはフォード傘下にあった頃ゆえに、フォードグループのモデルとプラットフォームを共用していたかに思われるが、タイミング的に難しかったこともありランドローバーオリジナルを採用している。

見かけによらずヘビーデューティな走破性をトピックとしていたディスカバリーだったが、オンロードにおける快適性を大幅に向上させるために、インテグレーテッド・ボディ・フレームと呼ばれるボディ構造に、4輪独立懸架サスを採用するという英断を下したが、それがファンからはディスカバリーを軟派へと導いたかに思われたところもあった。

しかし、こうしたハードウェアによってオンロードにおける快適性を広げる手法を採っただけではなく、オフロード走破性はもちろん、オンロードにおけるスポーティ性まで、ソフトウェアを駆使してキープするという手法を組み合わせた。これによって、それまでオフロード走破性を優先したがために、柔らか過ぎるとか、腰がないとまで評されたサスペンションはオンロードにおけるフィーリングを大きく改善。ハンドリングに素直さを与えつつも、乗り心地のゆったりとしたランドローバーらしさを備えるという、ディスカバリーが求めてきた理想の乗り味を手に入れていた。特に大きなロールが感じさせる不安を上手く取り除いた、その躾とのバランスは絶品と言えるほどだ。

制御技術のトピックは数多いが、感心したのはサスペンションストローク量を大きく確保しつつ、オンロードでは乗員を不安にさせるような動きを許さない、そんなバランスを実現したクロスリンク式エアスプリングの採用だった。不整地走破の基本である、片側のサスペンションが縮んだ際に反対側のサスペンションを伸ばすという動きを、エアサスペンションを用いることで独立懸架サスで実現したことに、驚いた覚えがある。そのほか、様々なシーンの走行アシストを提供するテレインレスポンスにより、誰でも安心して走ることができるデバイスも採用している。

ランドローバー ディスカバリー4 アウトドアパッケージ
こちらは2015年に50台限定で販売されたアウトドアパッケージ。小川などを渡る際に水深が深すぎると警告してくれるウェイドセンシングなどを備えていた。

最新を詰め込んだディスカバリー5にも惹かれるが、まったり感が残っているディスカバリー4を選びたくなる。その理由は、まずはボディサイズ。ディスカバリー4は全長4850mm、全幅1920mm、全高1890mmと大柄ではあるが、その分サードシートを備えた7名乗車を可能にしたパッケージングであること。ディスカバリー5がアメリカンフルサイズに届いてしまったという事実を考えると、ディスカバリー4に分がある。そして、以前のレンジローバーテイストを感じさせる厚めなフェイスデザインもポイントだ。

中古車として出回っている台数は多くはないが、その価格に割高感はなく、内容を考慮するとむしろリーズナブルである。何よりも、こんなに味のあるモデルが、半ばノーマークたる存在となっていることこそ、筆者が最も惹かれる理由となっている。

文/吉田直志 写真/ジャガー・ランドローバー・ジャパン 編集/iconic

<p>パワーユニットはガソリンのみで、当初はジャガー製の5リッターV8(6速AT)、マイナーチェンジで同3リッターV6スーパーチャージャー付き(8速AT)へと換装され、いずれのユニットも走りの質感とともにアッパークラスを感じさせてくれるポテンシャルをもっていた。</p>

パワーユニットはガソリンのみで、当初はジャガー製の5リッターV8(6速AT)、マイナーチェンジで同3リッターV6スーパーチャージャー付き(8速AT)へと換装され、いずれのユニットも走りの質感とともにアッパークラスを感じさせてくれるポテンシャルをもっていた。

<p>歴代モデルのデザインを踏襲しつつ、プレミアム感を高めたというエクステリア。チタンフィニッシュのメッシュを採用したグリルや、LEDライトが用いられた。</p>

歴代モデルのデザインを踏襲しつつ、プレミアム感を高めたというエクステリア。チタンフィニッシュのメッシュを採用したグリルや、LEDライトが用いられた。

<p>インテリアもより質感を向上。従来よりコントロール類を減らすことで流れるような印象に仕立てられたという。</p>

インテリアもより質感を向上。従来よりコントロール類を減らすことで流れるような印象に仕立てられたという。

<p>ドアなどの内張りには柔らかい素材を用いることで、見た目だけでなく感覚的にも質感が向上していることが実感できる。テールゲートは上下2分割で開閉。</p>

ドアなどの内張りには柔らかい素材を用いることで、見た目だけでなく感覚的にも質感が向上していることが実感できる。テールゲートは上下2分割で開閉。

<p>リアゲート開口時。</p>

リアゲート開口時。

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