狙うべきメルセデスは3つの世代のみ
しかし1990年代に入るとさすがのダイムラー・ベンツもグローバリゼーションの波をモロに受け、変革を余儀なくされました。
その結果として1990年代半ば以降は「妙にコストコンシャスな中型セダン」を作ったり、ちょっとイマイチなFF小型車やSUV、ミニバンなどまで作って拡大路線に転換。さらには、お荷物と化すだろうことは容易に想像できる米国のクライスラーを吸収合併し、「ダイムラー・クライスラー」になるという凡ミスも犯しました(2007年にはクライスラー部門を売却して「ダイムラー」に戻りましたが)。
そのような混迷の1990年代半ば以降を主導したユルゲン・シュレンプ社長は2005年に更迭され、2006年には工学博士号を持つディーター・ツェッチェが社長に就任。以降のダイムラー(メルセデス・ベンツ)は商品力を回復させ、現在の隆盛に至っています。混迷の時期と同様にFFの小型車やSUVなども作っていますが、現在のそれは、混迷期のモノとは段違いの諸性能とデザイン性とを有しています。
さて。以上の流れを鑑みれば、「2020年の今、我々ユーザーが狙うべきメルセデスはどの世代か?」というのは火を見るより明らかです。もうおわかりのこととは思いますが、答えは、
●最新世代の新車か中古車
●ちょい前世代(2010年式以降ぐらい)の中古車
●往年の世代(クラシックカーはバカ高いので、現実的には1980年式から1995年式ぐらい)
この3つだけです。そのほかの世代は無視してください。というか、暗黒期ともいえる1996年から2005年ぐらいのメルセデスは買ってはいけません。
狙うべきメルセデスをチェック!(写真6枚)
いや「買ってはいけません」ということもないとは思いますが、買っても満足するよりは後悔する可能性のほうが高いかもしれませんので、「君子危うきに近寄らず」の精神で避けるのが賢明でしょう。
次回はより具体的に、まずは「最新世代」の新車および中古車の買い方について検討してみます。
文/伊達軍曹 編集/iconic