メインターゲットは自然吸気の前期型
ターボやGT3以上に重要なのは、2015年9月に行われたビッグマイナーチェンジです。
ポルシェ911のカレラ系は伝統的に、3.6リッターぐらいの自然吸気エンジン(要するにターボ付きじゃない普通のエンジン)でずっとやってきたのですが、「ダウンサイジング」という世界的な潮流にはさすがに勝てず、ついに2015年9月、3リッターという(ポルシェにしては)小排気量なエンジンにターボチャージャーを付けたタイプのエンジンに生まれ変わったのです。
そのため991型911は、一般的にはこのマイナーチェンジを境に「前期型」と「後期型」に分けて扱われています。
そして親愛なる読者各位がもしも991型ポルシェ911の購入を検討するとしたら、この「前期型」こそがメインターゲットとなるでしょう。
その理由は、「後期型の中古車はまだ高いから(安いやつでも総額1000万円近く)」という身もふたもない話のほか、「991後期のターボ化されたカレラを買ってしまうと、どうしても現行992型のことが気になってしまうから」です。
2015年9月を境にターボ化されたカレラのエンジンはその後も踏襲されたため、現行型のカレラにも3リッターのターボエンジンが搭載されています。そうなると、「同じターボなら、新しいやつのほうが……」とどうしても思ってしまうのが人間というものです。
しかし前期型であれば、現行型とは明確に異なる自然吸気エンジンを搭載しているため、「ふん! ターボより自然吸気のほうが切れ味も音もいいんだぜ! (知らんけど)」という自己満足にひたることができます。
まぁ実際に大排気量の自然吸気エンジンはキレも音も非常に魅力的ですので、「おすすめはやっぱり前期型! 」ということにはなります。
では、その「タイプ991の前期型カレラまたはカレラS」というのは今、いくらぐらいで買えるものなのでしょうか?
中古車というのは一物一価で、個体によって価格はさまざまなのですが、ざっくりとした相場を言うなら「安めのやつで800万円ぐらい」というのがいちおうの目安です。