逆輸入からはじまった、想定以上のヒット作
そのオリジナリティあふれる商品性は、日本のユーザーにとっては、たとえ、左ハンドル仕様であっても、ボディサイズが日本で大きかろうと、4リッターV6という大排気量ガソリンエンジンを搭載していようと、これに代わるモデルはないという理由から、そして、為替の円高影響もあって、国内に逆輸入車として続々と入ってくることになった。
当初、トヨタとしては国内導入は考えていなかったし、そのつもりもなかった。
それもそのはず、当時、国内メーカーが生産するモデルの多くは、グローバルに展開するためにサイズ感において、国内マーケットにどこまで応えるか、それとも捨て去るか、戸惑っていた頃。FJクルーザーとプラットフォームを同じくするハイラックスサーフ(2002年発売)は北米での期待に応えるべく全幅を1910mmへと拡大し、そのまま日本にも導入したが、そのサイズ感から国内での販売台数は失速。そういった事情もあって、FJクルーザーは国内での販売を考えていなかったし、筆者もまさか導入されるとは思ってもいなかった。
ところが、国内からの強い要望もあって2010年末に国内導入が開始されることになる。日本と同じ左側通行を採用するオーストラリアへの導入を考慮して右ハンドル仕様を設定したこともあるが、国内においては、ハイラックサーフが次の世代へと移行するにあたって国内での販売を終了(2009年)し、カジュアルかつ個性あるSUVというポジションをFJクルーザーに引き継ぐ、そんな事情もあってのことだった。
国内では、すでに個性にこだわるユーザーが逆輸入車を手にしていたが、右ハンドル仕様を待ち望んでいたユーザーも多く、314万円~(消費税込み)という刺激的なプライスも魅力となり、トヨタが想定していた以上のヒットとなる。
ちなみに、国内に導入されたFJクルーザーは、マーケティングにおけるまでケーススタディ的な意味合いを与えられていた。それは媒体を利用した派手な広告展開は行わず、ユーザーやSNSを介した情報発信を主とし、トヨタはその仕掛けだけを行うというもの。それらを目にして気になった人は、自分で検索するなりして、探し出し、そしてFJクルーザーに到達する、そんなストーリーが描かれていたのだ。
細かな仕様変更はあったものの大きな変更は行われず、その希少性を高めるために、ボディカラーを小まめに変更したり、限定での販売を行ったり、時計やレゴブロックといったクルマとは関係ない商品とのコラボレーションを行うなど、2018年1月末で販売を終了する最後まで実験的な試みが続けられた。






