驚くほど異なる双子モデルの走り
基本設計が共通でハンドルも同じアップタイプとなると、走りのキャラクターも似たものとなるのが常だが、実際にまたがってみると「390DUKE」と「スヴァルトピレン401」のライディングポジションはかなり印象が違う。短いタンクで前のほうに着座する「390DUKE」に対して、「スヴァルトピレン401」のシートは高い位置にあり、ヒップポイントもかなり後方。シート高は「390DUKE」が830mmに対して「スヴァルトピレン401」は835mmと差は5mmしかないのだが、そんな数値が全く信じられないくらい両者のライディングポジションには差がある。


走りの印象も驚くほど異なる。着座位置だけでなく、ステップ位置も「スヴァルトピレン401」は後方になっていることもあるが、ストレートを走っているだけでも基本設計が共通とは思えない。アクセルに対して機敏に反応し、「もっと開けろ」と語りかけられているような気分になる「390DUKE」に対して、「スヴァルトピレン401」は滑らかなアクセルレスポンスで振動も少なく、落ち着いた乗り味だ。振動については、シートの厚みの違いによるものが大きいのだろうが、正直なところここまでキャラクターが違うとは予想できなかった。

そして、最もフィーリングの差異が大きかったのがコーナーリング。フロントに荷重をかけてクイックに曲がる「390DUKE」に対して、「スヴァルトピレン401」は高い位置のシートに荷重し、バンクさせてリアタイヤを軸に曲がって行く印象。シートに荷重した際の反応は鋭く、よく曲がるのは共通するがハスクバーナのほうがトラディショナルなハンドリングだ。


同じ素性を持ちながら、外観も走りもヤンチャさの強い「390DUKE」に対して、見た目も走行フィーリングも落ち着いた印象の「スヴァルトピレン401」。それでいて、基本的な走行性能は同じなので、その気になれば相当な速さを味わうことができるのも、このマシンの魅力だ。街中をゆったり流すのも、ワインディングをキビキビ走らせるのも、どちらも似合う大人のマシンだ。
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文/増谷茂樹