第1回目となる今回のテーマは「ポルシェ911とは、そもそもどんなクルマなのか?」。これは、言い換えるならば「ポルシェ911って、そもそも何がそんなに素晴らしいのか? 」という根本的かつ素朴な疑問に対する答えでもあります。
ポルシェ911とはどんなクルマなのか?
ではさっそく始めましょう。まず、ポルシェ911とはどんなクルマなのか? これに対する教科書的な答えは、以下のとおりとなるはずです。
「1964年にその初代モデルが発売された、ドイツのポルシェ社が製造するスポーツカー。当初のモデルは空冷方式の水平対向6気筒エンジンをリアに搭載し、後輪を駆動した。その後、空冷方式のままモデルチェンジを重ねたが、1997年からはエンジンを水冷方式に変更。しかし『フロントではなくリアにエンジンを搭載し、後輪を駆動させる』という基本レイアウトは不変なまま(※1989年からは4WDもラインナップ)さらなるモデルチェンジを重ね、今日も、世界を代表するスポーツカーのひとつであり続けている」
……この端的な解説文に大きな間違いはないはずですが、一読するだけでは「わかるような、わからないような……」というのが正直なところではないかと思います。
なので、もう少し具体的にご説明しましょう。

絶賛の理由1:基本コンセプトがまったくブレていない
ポルシェ911というクルマの凄いところ、多くの人が「ポルシェ911は素晴らしい!」と絶賛する理由はいろいろあるのですが、その根本には「基本コンセプトが何十年間もまったくブレてない」という点に対するリスペクトがあります。
クルマの製造販売に限らず何事も「長く続ける」というだけでけっこう大変なのですが、プロジェクトも長く続けていると、一般的にはさまざまな「ブレ」が生じてくるものです。
例えば、日産のスカイラインというスポーティセダンをディスるわけでは決してないのですが、そのカタチとクルマとしてのキャラは、1957年に発売された初代と2014年発売の現行型では「まったくの別物」と評しても過言ではありません。カーマニア以外は、そこに連続性を見いだすのはちょっと難しいでしょう。
しかしポルシェ911は、時代に応じて細部はもちろん変わっていますが、「水平対向6気筒エンジンをリアに搭載する、カエルの目のようなヘッドランプが特徴の、サーキット走行にもお買い物にも使える超高性能車」という基本理念は100%、完全に不変です。
時流を見ながら小利口にあっちへ行ったりこっちへ来たりとウロウロするのではない、ポルシェ911というブランドの「いっぽんどっこな有り様」が、世界中の男たちを引きつけてやまないのです。そこが、まずはカッコいいのです。
