3列目シートはあくまでエマージェンシー
いくらアメリカや中国といった“広い市場”で人気のミッドサイズSUVとはいうものの、そろそろモデルチェンジごとのサイズアップはやめて欲しいと思う反面、歓迎すべきことにGLCクラスやGLB、GLAクラスといった下位モデルもまた立派になっている。
要するに下位モデルの仕様が豊かになればなるほど上位モデルもまた輪をかけて豊かになっていかざるをえない(そうでなければ秩序が保たれない)。台数を稼ごうと思えば裾野を広げるほかないわけで、ユーザーのボディサイズに対する価値観が規制や法律によって変えられることでもないかぎり、この傾向は続くことだろう。
新型GLEクラスにおいてホイールベースがかくも延長された理由は、ずばり3列目シート=7人乗りスペースの確保だ。日本仕様では3列シート仕様が標準で、ミニバン的使い方もやろうと思えばできる。
とはいえ3列目はあくまでもエマージェンシー的な使い勝手でしかない。無理に7人乗りで使うというよりも、3列目を畳んでラゲージスペースとする5人乗り使いがメインとなる。従来型よりも荷物が沢山積めるようになったという点こそ、新型GLEクラスの魅力かも知れない。
ベストチョイスは直6ディーゼルを積むこのモデル
実際に大きくなったからといって、それが乗りづらさに繋がるとは単純に言えない点も面白いところだ。もちろん駐車スペースのような物理的な制約に不便が増えることは確かだけれど、幅2mを越えたからといって途端に運転が難しくなるわけじゃない。バスやトラックの通る同じ道を乗用車も走るのだから、むしろ気にするべきは大きくなったことを必要以上に乗り手が感じてしまうかどうか、という点にこそある。
その点、新型GLE400d 4MATICは走り出した瞬間からそのサイズを忘れさせてくれるSUVだった。搭載されたパワートレーンはOM656と呼ばれる3リットル直6ディーゼルターボに9速AT+4WDシステムを組み合わせたもので、最大トルク700Nmをわずか1200回転から発揮する。これが効いているのだ。