右足にちょんと力を加えたら電子制御された700Nmが即座にけれども丁寧に立ち上がる。2.4tを越える車重をものともせず、トルクの大波にのったままガンガン加速を続ける。これにしなやかなアシ回りがよく追随し、ドライバーにクルマとの一体感を与えてくれる。だからボディサイズを必要以上に感じないのだった。
では、その走りに弱点はなかったかというとそういうわけでもない。コンビニやGSに入るような小さな段差を越えたとき、一瞬ぶるぶるっとなって大柄になったボディを感じ我に帰る。そうだ、このクルマはかなりデカかったな、と。もっともこれは走っている最中に消え失せた適切な車両サイズ感覚を取り戻してもらうための巧妙な作戦だと言えなくもない。物理的に大きなクルマであることは間違いなく、微速域ではそのサイズを意識できたほうができていないよりも安全というものだろう。
GLEクラスの日本仕様にはほかに、2リッター4気筒ディーゼルターボのGLE300dと、ISG付き3リッター直6ガソリンターボのGLE450がある。400dと450がスポーツというサブネーム付きのモデルだ。将来的にはこれにディーゼルハイブリッド仕様も追加されるというが、今のところベストチョイスは400dだろう。否、今全メルセデスラインナップのなかで最も乗っておくべきエンジンがOM656なのだ。だからベストチョイスは自動的にOM656搭載グレードになると言ってもいい。
文/西川 純 写真/郡 大二郎 編集/iconic