ユーティリティこそが真骨頂
それにしても、荷室容量が大きくて、シートアレンジの多彩さや、室内の広さを強調するクルマは少なくないが、「荷物をもって移動すること・愉しむこと」を、かくも雄弁に語るパッケージは、ちょっと他に例がない。ようするにリフターは運動神経と「だだっ広さ」を誇るだけの一台ではないのだ。
荷室容量は5人乗りの状態、つまり後列シートを畳まない状態でも775リッターあり、荷室の床の奥行だけで1m以上、リアシートを倒すと2126リッター、床の奥行は1880mmにもなるが、リフターのラゲージスペースは広いだけでなく、固定フックが床から出っ張らないとか、ほぼ立方体に近い空きスペースをシェルフで上下2段に分けられるとか、垂直方向にも使いやすくする仕掛けが多々ある。最たる例は、リアシートの後方、荷室でデッドスペースとなる辺りに耐荷重10kgの吊り収納が備わっている。帽子やヘルメットといった小物類を入れるのにちょうどよさそうだし、ハッチゲート側だけでなく、車内リアシート側からも手が届く収納なのだ。
ちなみに前列シートの頭上には18リッターのシェルフ、またパノラミックサンルーフのすぐ下には、車内を縦断するように14リッター容量の半透明シェルフがある。後者は「見せる収納」の色合いが強いようだが、収納スペースこそが主役であるかのような、このクルマを象徴するディティールといえるだろう。
もうひとつ収納スペースについて記すべきことだが、ダッシュボード周りもドリンクホルダーや浅めのトレイといった収納がありとあらゆるところに設けられている。その一方で、センターコンソールのスライドカバー付き収納などは、高級感すらある。こういうメリハリやプライバシーの造り込みが、やはりフランス車は巧い。
ディーゼルゆえの好燃費と足の長い行動レンジ、そしてこれだけの収納を使いこなすライフスタイルとはどのようなものか、想像をたくましくせずにいられない。ローンチ・エディションの車両価格は336万円と、まずまず安くはないが、マルチ・パーパスぶりで抜きん出たファミリーカーもしくは趣味の一台として、リフターは覚えておくべき選択肢だ。
文/南陽一浩 写真/プジョー・シトロエン・ジャポン 編集/iconic






