さて、このCX-3、いわゆるボディサイズやクラスから判断してしまうと、割高感がある。しかし、このモデルのアドバンテージはコンパクトながら、インテリアの質感、シートデザインからハンドリングにおけるまで質感がすこぶる高いことにある。そう、コンパクトだから安かろうではなく、コンパクトなのにアッパークラス感を極めていることに価値がある。だから、サイズと価格だけでSUV選びをしている人には申し訳ないがオススメできない。それらを超えたところにある価値に、オドロキを見つけられた人向きである。
このモデルのスゴさはあれやこれやとあるが、個人的に感激したのはシートポジションだった。シートに腰を落ち着け、フットレストに左足を置いて、ステアリングを握ると、ピタリと体にフィットする感覚は、まさに欧州車的。少々スポーティに設えられたハンドリングは、SUVやクロスオーバーというよりもハッチバック的。思うがままに、意のままに操れる感覚があり、タイヤの接地感もとにかく豊か。
1.8リッターディーゼルターボエンジンはトルクフル、かつパワフルで、高速での爽快ともいえる伸び感がたまらない。2.0リッターガソリンエンジンはレスポンスに長けており快活なパワーを愉しめる。しかも、トランスミッションにはマツダが誇る6ATだけではなく、なんと6MTも設定。300万円以下であっても、駆動方式はFFだけではなく4WDも選択できるし、ガソリンだけではなく、ディーゼルエンジンも選べる。
実はマツダ2と共用パートが多いのだが、そう聞かされても、この走りを知ってしまうと、そんなことはどうでもよくなってしまうはずだ。まぁ、たしかに、リアシートの足下は広々とはしていない。しかし、だからといって、膝がフロントシートバックについてしまうとか、居心地が悪いといったマイナス面はない。むしろ、程よくタイトに作られたスペースに自分だけの居場所を見付け、ちょっと嬉しくなってしまうほどだから(自分だけかもしれないが)。