男が求める夢は外の世界にのみあるわけではない。居場所の自邸でこそ味わえる特別な時がある。自身のこだわりを惜しむことなく注いだ夢の空間。そんな場所を持つ男たちに、その実現の極意を聞いた。
Car Space【カースペース】
会社経営 男性
最も日当たりが良いという庭は季節の移り変わりで色を変え愛車の見え方や印象を変える。その美しさもリビングから見る愛車を引き立てる役を担っている。
自分だけの夢の空間をつくるコツ
(その1)クルマに対する愛を惜しむことなく家に反映させる
(その2)生活の場としての快適性を損ねないよう現実的な動線も考慮
(その3)建築家に遠慮せず細かいオーダーを伝える
「僕らよりもクルマが気持ち良いそんな家を実現すること」
紳士にとってクルマは多くの夢や愛情を注げるロマンの対象だ。だからこそカースペースにもまた、こだわりをつめ込み特別を求めるか。”クルマといつも一緒にいたい”。これが今回紹介する夢のカースペースを手に入れた紳士のオーダーだった。設計した建築家の角さん(設計組織DNA)は「打ち合わせを重ねるにつれクルマも施主の家族の一員なのだと感じるようになりました」という。だが夫婦2人の生活空間を大切にしたいという思いもある。試行錯誤し導き出したのが庭、カースペース、居住空間を3列に並べるこの家。「最も日の当たる南側は庭、次いでカースペース。こうすることで、家のどこからでも庭を背景にして愛車を眺められるようにしました」と設計の肝を語る。
カースペースの床はリビングと同じ無垢のローズウッド。そのため2台の愛車がまるでリビングでひなたぼっこをしているかに見える。「僕らよりクルマが気持ちいい家にしたい」。施主のオーダーが強く反映された部分だろう。クルマからの油分の染み出しが気になりそうだが、ローズウッドは油分が多いためシミになりにくいのだそう。そんな所も抜かりない。
朝起きれば寝室から愛車の姿が自然と目に入る。食事は隣にあるカウンターで取り、日中は愛車の気配を感じながらリビングでくつろげる。入浴する際も眺めていられるし、眠りにつく前に、お休みの一瞥を送ることもできる。24時間ずっと施主の隣には2台の愛車が静かに、行儀良く控えている。
週末の外出が減ったと、施主は言う。それほどここで過ごす大人の週末が心地いいのだと、クルマへの愛を惜しみなく表現する。この特別な空間は、まさしくそのようにして生まれたのだ。