南イタリアらしい「柔らかさ」と「バランス感」が同居!

ここで、少しジャケットの作りの話に戻ろう。 「サンタニエッロのジャケットの一番の特徴は何ですか? ナポリのジャケットとは、どんなところが違うのですか?」とアントニオ氏にピッティ会場で質問すると、このように答えてくれた。
「独自に開発した生地が生かせるよう、全体的な”柔らかさ″を大切にしています。そのため、芯材は極力減らして、ソフトな作りに。ジャケットを着たときに、肩に服が乗っているという感じがしないのが理想ですね。肩周りは、南イタリアのジャケットらしく少し雨降らし袖になっていて、ポケットもゆったりとバルカ仕様に。ナポリ仕立てとベースは似ていると思いますが、ナポリの服は、結構個性が強いものも多い。その点、サレルノの服のほうが、もう少し個性をなめらかにして、全体的なバランス感を大切にしています」
南イタリアらしい、ジャケットの形のこだわり(写真4枚)
そうした「サレルノらしい」服は、長年サンタニエッロで働く職人たちの手により、毎日愛情を込めて作られている。

ジャケット職人のお父さん(写真上左)、パンツ職人のお母さんも未だ現役で、職人たちへの指導や監修を毎日工場で行っている。イタリア全体的に、手間暇がかかる服作りは、年々若い後継者が少なくなっているかもしれないが、ここでは50歳を超えた古株の熟練職人が20代、30代の若手にもしっかり技術を教えて踏襲している。アントニオは引き続き、日本や海外に送るコレクションの生地選びに頭を悩ませながら、生産ラインをチェック。職人魂溢れるお父さんお母さん、その息子アントニオのサレルノ愛溢れるジャケット&パンツ作りは、今日もまた、忙しい。
小さくアットホームな工場で、職人さんたちが腕をふるう!(写真17枚)
サンタニエッロの商品のお問い合わせ先は、
ラ ガゼッタ 1987 青山店 TEL: 03-5468-5330
ラ ガゼッタ 1987オンラインストア
撮影/若林武志<静物> スタイリング/宮崎 司 文/平澤香苗(MEN’S EX ONLINE)