スイスとは真逆に位置する、自然豊かな島
ティレニア海に浮かぶリゾートアイランド、エルバ島。1976年、フリーダイビング界のレジェンド、ジャック・マイヨールが人類史上初めて素潜りで100mをマークしたのが、この島でした。彼が終焉の地に選んだのも、ここでした。
ナポレオン・ボナパルトが、1814年にフランス皇帝からの退位を余儀なくされ、翌年復位するまでの299日をここで過ごしたことも知られています。
エルバ島は、歴史とエピソードに彩られた島でもあるのです。
そんなエルバ島で、なぜロックマンは誕生したのか?
それを探るべく、ファクトリーを訪ねると、「え、マジで?」と我が目を疑う光景が広がっていました。というのは、我々取材チームを乗せた車は、パラソルの花が咲くビーチの脇を通り、何艘ものヨットが係留されているヨットハーバーの前で止まったのです!
驚くなかれ、ロックマンの本社&ファクトリーは、そのヨットハーバーの目の前にあったのです。
腕時計に関心のある方なら、腕時計の工房と言えば、通常スイスの山村や湖畔、または郊外のファクトリーエリアなどに存在していることをご存知でしょう。ロックマンの場合は、ロケーションからしてスイス・ブランドとは”真逆”。
本社社屋も、一見会社然としていないのは、歴史ある建造物をリノベーションして使っているからでしょう。オフィス棟の北隣には、これも歴史ある建物を改装したブティック。南隣のファクトリーは、レストランだった建物を改装して使っているというのにもびっくりです。そのファクトリーの2階には、ロックマンが経営する「コンティキ」というレストランまであるのです。
「でもご心配なく。日本のミツビシの空調システムを導入して、防塵、温度、湿度管理は万全を期していますから」
ロケーションに驚く我々の思いを察したのか、創業者にして現社長のマルコ・マントバーニさんは、笑顔でそう語りながら、私たちを出迎えてくれました。