時計特集などでもスイス・メイドの時計が多くを占める中、実は「メイド・イン・イタリー」の時計というのは珍しい。「ロックマン」は、その稀有なブランドの1つだ。イタリア中部にあるエルバ島という海に囲まれた小さな島で、その時計は生まれた。唯一のメイド・イン・イタリーのマニュファクチュール時計の魅力を探るため、時計に精通するライター・まつあみ靖氏が、はるばるエルバ島を訪れた。
イタリア唯一のマニュファクチュール時計、「ロックマン」はどのように生まれたか?
MEN’S EXの読者には、イタリア贔屓の方、多いんじゃないでしょうか? 服にしろ靴にしろ、そのほかのファッション・アイテムにしろ、メイド・イン・イタリーの素敵さは、言わずもがな。では、腕時計は——?
イタリアもののスーツに身を包んでいても、その手元はスイスを筆頭に、ドイツ、日本勢が幅を利かせているのが実情でしょう。確かにイタリアをオリジンとするウォッチ・ブランドはいくつかありますが、その大半がスイス国内で製造されているのは、ご存知の通り。お目がねに叶う100%(チェント・ペルチェント)イタリアンな時計を、心待ちにしているファッショニスタは、少なくないでしょう。
「ロックマン」というウォッチ・ブランドをご存知でしょうか。イタリアはトスカーナ沖のティレニア海に浮かぶエルバ島で1986年に創業といいますから、30年もの歴史を有するブランドです。96年から自社ブランドのモデルを展開し、日本でも一定の認知を獲得してきました。が、どちらかというと、デザイン・ウォッチ志向のブランドという見方をされていたようです。
そんな中、2015年春にロックマン・ジャパンが設立されます。すると、ロックマンは、自社製ムーブメントを有するイタリア唯一のマニュファクチュール(自社一貫生産体制を持つファクトリー)であり、時計学校も運営し、高級とされるフォージド・カーボン・ケースを自社内で切削加工し、コストを大幅に抑えているなど、デザイン性のみならず、本格ウォッチ・ブランドと呼びたくなる情報がいろいろと伝わってくるようになりました。
これは、現場検証をせねば! とエルバ島を目指すことと相成ったわけです。