ミュージアムで貴重なアーカイブを発見
バーゼルワールドの後、僕は早速パリのヴァンドーム広場の一角にある、ブレゲ・ブティックの2階にある博物館を訪ね、数々のアーカイブを見せていただいた。そこには時計だけではなく、初代ブレゲが残したアイデアを書いたメモや、設計図、そして顧客台帳など様々な貴重品が金庫に収納されており、その一部が展示されているのだった。
そこには僕が時計というものに興味をもち、1980年代の初め頃に知った”ブレゲ”という、精密で美しいデザインを纏った時計の、歴史がひしめいていたのだった。そしてそのオリジナルのデザインや機能が、現代の腕時計に生かされているのを見ることができ、楽しい時間を過ごすことができた。
たとえば2011年発表の腕時計クラシック7337のデザインは、1823年に販売された鍵巻きポケットウォッチのブレゲNo3833に、そのルーツをもつことがわかる。そのふたつの時計は、200年という年月を超えて存在しながら、不滅のスピリットで結ばれているのだ。
1823年
オフセンターで均整のとれたデザイン
BREGUET No.3833
ブレゲ No.3833
この懐中時計は、ゴールドとシルバーのケースに、ハーフクォーター・リピーティング装置を備え、文字盤の12時位置に月の満ち欠けを示すムーンフェイズ表示をもつ。そして2時位置には日付表示の窓が配される。1823年に製造され、トーマス・ハウレイという人が購入したと顧客台帳には記されている。
2011年
ミュージアムピースを現在の技術で腕時計に再現
CLASSIQUE 7337
クラシック 7337
ブレゲの伝統的デザイン、機構を現在に伝える、現行モデルのフラッグシップコレクション「クラシック」。こちらは、右のNo.3833のデザインを腕時計で忠実に再現しながら、シリコン製のアンクルとヒゲゼンマイなど現代の技術で仕上げている。超薄型のキャリバー502を搭載。シースルーバック。45時間パワーリザーブ。自動巻き。径39mm。18KRGケース。アリゲーターストラップ。426万円(ブレゲブティック銀座)