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過去と現在を結びつける貴重なアーカイブに遭遇

向かって左のキャリッジクロックは、15分刻みでの時を打つ、クォーターリピーティング装置をもつ”No1805″、自動的に時を告げるソヌリ機構ももっている。真ん中の銀色の時計はナポリ女王カロリーヌ・ミュラが所有していたモントレ・ヴォヤージュ、つまり旅時計。

200年の時を経て古典的美が蘇る

ブレゲの残したものには、様々なスタイルの時計があるが、中でもポータブルなキャリッジクロックは、精緻なメカニズムも、その外装デザインも美しいものだ。

日本では昔「枕時計」と呼ばれたこれらの時計は、一台一台が木と革で作られた専用のケースに収められ、馬車などの旅に持ち歩かれた。その多くはリピーティング機構をもち、音で現在時刻を知らせてくれ、またあるものは永久カレンダー機構をもち合わせていた。

そして究極の時計の一つがサンパティークと呼ばれる親子同調システムを備えた時計だ。外出から帰ると、置時計スタイルの親時計に、子時計のポケットウォッチをセットすると、自動的にスプリングを巻き上げ、もしずれていれば、時刻修正までするという、驚異的なメカニズムをもつ時計だ。マリー・アントワネットが注文した、複雑機能を備えた、有名なかの時計と並ぶ、ブレゲの天才性を示す時計と言えよう。

かつてのブレゲ時計がもつ古典的な美が、200年の時を経て、革新技術とともに、現代の時計に反映されているのを実感する訪問となった。

時計だけでなく貴重な資料類も保存、展示する

このノートに描かれているのは、マリンクロノメーターの、テーブル上の配置図。時計の周りに温度計なども記されている。

ブレゲ・ミュージアム
住所:6, place Vendome, F-75001 Paris
ブレゲ・ミュージアムは、パリの中心ヴァンドーム広場にあるブレゲ・ブティックの2階だ。

[MEN’S EX 2017年9月号の記事を再構成]
撮影/Ikuo Yamashita 取材・文/松山猛

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1800年に、ナポレオンの夫人ジョゼフィーヌのために作られた時計。ゴールドにブルーエナメルのケースをもち、暗闇でも時間がわかるように、ダイヤモンドのポインターがケース外周に配置される。ケースの外側に付けられた針とそのポインターによって時刻を知る、モントレ・ア・タクトというスタイルの時計だ。

1800年に、ナポレオンの夫人ジョゼフィーヌのために作られた時計。ゴールドにブルーエナメルのケースをもち、暗闇でも時間がわかるように、ダイヤモンドのポインターがケース外周に配置される。ケースの外側に付けられた針とそのポインターによって時刻を知る、モントレ・ア・タクトというスタイルの時計だ。

海軍御用達時計師であったブレゲ工房が得意とした高精度なマリンクロノメーター。

海軍御用達時計師であったブレゲ工房が得意とした高精度なマリンクロノメーター。

1958年に開発されたパイロットウォッチの貴重なゴールド・ケース黒文字盤モデルだ。

1958年に開発されたパイロットウォッチの貴重なゴールド・ケース黒文字盤モデルだ。

ブレゲの時計造りには欠かせない、ギヨシェ文字盤を作るための、昔の手動ギヨシャージュマシンも展示されていた。

ブレゲの時計造りには欠かせない、ギヨシェ文字盤を作るための、昔の手動ギヨシャージュマシンも展示されていた。

様様な創作のアイデアなどが書きとめられたノート。

様様な創作のアイデアなどが書きとめられたノート。

フランス革命の影響が残る1793年にブレゲがスイスに戻って時計造りを継続するために、パスポートを申請したときのレター。その左右にあるのは、輪列の配置を考えたときのアイデアスケッチ。

フランス革命の影響が残る1793年にブレゲがスイスに戻って時計造りを継続するために、パスポートを申請したときのレター。その左右にあるのは、輪列の配置を考えたときのアイデアスケッチ。

ヴァンドーム広場に面したブティックの2階に、美しいインテリアの博物館がある。

ヴァンドーム広場に面したブティックの2階に、美しいインテリアの博物館がある。

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