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見えても素敵な男の肌着姿(イメージイラスト)

そんな肌着問題について、20代の担当編集のHくんと話をしたところ、「画伯、今どきのシティボーイはシャツの襟元から白いTシャツを覗かせるそうですよ。ポロシャツやラガージャージにもインナーに白いTシャツを着るのが新鮮みたいですよ」と。それは意外。

ちょっと昔話になるけど、アイビーが日本で最初に流行った’60年代当時、アイビーの伝道師だったくろすとしゆきさんは「ボタンダウンシャツの襟元からTシャツを覗かせるのはアイビーではない!」と断言した。で、オレもそれに倣ってシャツの下にTシャツを着なかったのだけれど、高校一年のときに観た映画『アメリカン・グラフィティ』(’74年日本公開)でロニー・ハワード(スティーブ役)とリチャード・ドレイファス(カート役)演じる西海岸のハイスクールアイビーの影響を受けて以来、ボタンダウンシャツの襟元からヘインズの3枚パックの白Tシャツを覗かせるのがオレの定番となった。

それから9年後の’83年。当時ニューヨークデザイナーとして頭角を現したアラン・フラッサーは、自著『MAKING THE MAN(男の服装学)』(平凡社刊)の中で、「香港の利工民(リー・クン・マン)のTシャツは世界一」と断言した。

利工民?耳慣れないブランド名と鹿のマークが描かれたパッケージデザインに魅かれて、それから数年後、初めての香港旅行で入手した利工民のTシャツ。生地は英国製のピマコットン140カウント。これは普通、市場に出廻っているものの6倍は目がつんでいるとか。洗っても縮むことなく丈夫で、何よりも肌触りが実に爽やかである。さすがアラン・フラッサーが絶賛するだけのことはある。以来、利工民のTシャツがオレの肌着の定番となり、今も香港の友人がときどき送ってくれるが、オレは普通のTシャツを希望するも、なぜかいつもヘンリーネックやノースリーブの肌着が届く。せっかく送ってもらって悪いけど、これおじさん臭くない?と、ヘンリーネックの肌着はクローゼットの中で眠ったままだった。ところが最近、ファッション業界人注目の原宿のセレクトショップ『ブライスランズ』が利工民の肌着、それもヘンリーネックタイプを取り扱っているというじゃないの。聞けば、あのブルース・リーが映画『ドラゴン危機一発』(’74年日本公開)の中で着ていた肌着がこれだとか。いや、それは知らなかったな。オレだって高校生のころはタイムリーにブルース・リーに夢中になったけど、休み時間に怪鳥音を発したりヌンチャクを振り回すばっかりで、肌着までは注目しなかった。さすがブライスランズ。

ちなみにこの店おすすめのヘンリーネック肌着の着こなしは、ウエスタン風にダンガリーシャツの前ボタンを開けてヘンリーネックを覗かせるとか。早速クローゼットから出して実践してみよっと。

これからは、キミはワイシャツの下の肌着を見せる派? それとも隠す派? になりそうだ。


今月のシネマ

『ドラゴン危機一発』(1974)

『アメリカン・グラフィティ』(1974)



[MEN’S EX 2018年7月号の記事を再構成]

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