今月の先生
小林弘幸先生
順天堂大学医学部 総合診療科教授
1992年、順天堂大学大学院医学研究科博士課程を修了後、ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などを経て順天堂大学へ。自律神経研究の第一人者であり、日本初の便秘外来を開設した腸の専門家。現在便秘外来は9ヶ月待ち。
健康的な血液を作り出す腸は脳に次ぐ大切な器官
M.E. 健康的なカラダ作りには腸内環境の改善が欠かせないと聞きます。腸には具体的にどのような働きがあるのでしょうか?
小林先生 腸は新鮮な血液を作り出し、体内に送り出すスタート地点です。ですから、その腸の働きが低下し、便秘がちになってしまうと、腸が炎症をおこし、質の悪いいわゆるドロドロした血液が体内を循環することになります。こうなると、カラダが疲れやすくなるばかりでなく、生活習慣病や肥満、マイナス思考などフィジカルにもメンタルにも悪影響を及ぼすのです。
M.E. なるほど、腸が第二の脳といわれる所以ですね。
小林先生 そうなのです。そのためには食生活と生活習慣を含めた毎日の”腸活”が大切となってきます。
体重のコントロールが腸内改善には不可欠
M.E. 具体的にはどうすれば?
小林先生 下にも挙げますが、水を飲んだり運動したりして腸を刺激することが第一。また、飲み会が多いビジネスマンは体重のコントロールもポイントですね。体重が増えるということは、それだけ余計に腸に負担をかけているということ。ですから、朝晩毎日体重を測り、基準体重よりも増えている場合は、その日は食事を軽めに済まし、元の体重に戻すことで、腸へのストレスを軽減する習慣をつけましょう。
M.E. 食事で気をつけるべき点はありますか?
小林先生 広く知られていることですが、乳酸菌と食物繊維を積極的にとることですね。腸内には様々な種類の菌がいますが、実は体内では作り出せません。外から新しい菌をいれてあげなければならないのです。手軽なのはヨーグルトを食べることですが、食べるヨーグルトの種類もこまめに変えていくと、いろいろな菌を腸に取り込めるので、最近はよくおすすめしています。
M.E. 他に気をつけるべき点は?
小林先生 ビジネスマンに多いのがストレス由来の腸内環境の悪化。リラックスして副交感神経が働くときは腸の活動も活発になりますから、十分な睡眠が腸内環境の改善には欠かせないのです。