「伊藤忠商事」代表取締役 会長CEO 岡藤正広さんに聞いた!会社を長続きさせる働き方改革とは?【加藤綾子/一流思考のヒント】

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「カトパン」ことフリーアナウンサーの加藤綾子さんが一流のトップに組織マネジメントや成功のヒントを探り、そっとシェアする「一流思考のヒント」連載。

第11回「伊藤忠商事」代表取締役 会長CEO 岡藤正広さん[前編]

加藤 綾子さん、岡藤正広さん

※最後に加藤綾子さんのスペシャルフォトギャラリー付き!

Profile
加藤綾子 Ayako Kato
1985年生まれ。2008年フジテレビ入社、看板アナウンサーとして活躍。´16年よりフリーアナウンサーとなり、活躍の場を広げる。4月から『世界へ発信! SNS英語術』(NHK)、『MUSIC FAIR』(CX)にて新たにMCを担当。夏からスタートしたオフィシャルインスタグラム@ayako_kato.officialは、11月現在でフォロワー29万超えに。

岡藤正広 Masahiro Okafuji
伊藤忠商事株式会社代表取締役 会長CEO。1949年生まれ。東京大学経済学部を卒業後、1974年に伊藤忠商事に入社。大阪本社を主な拠点に繊維の営業を担当し、世界の有名ブランドの導入に手腕を発揮。2010年に代表取締役社長に就任。2018年より現職。

会社は長続きせないかんわけで、いかに社員の幸せを考えるかが大事。働きがいがあれば、業績も上がります
(岡藤さん)

変わることができないとどんどん古くなる

加藤岡藤さんに関する記事はどれを読んでも既成概念を打ち破るエピソードばかりですが、岡藤さんがトップになられてから、朝型勤務をはじめ働き方改革に力を入れるようになったと。

岡藤社長になって翌年、3・11の大震災のとき、東北にある事業会社の事務所や工場、物流センターが水に浸かったり、みんなパニックになっていたりしました。当時私は早朝から東京にある事業会社を回り、状況を確認して、ちょうど10時頃に会社に戻ってきたのです。するとうちの社員が地下鉄の駅から、ぞろぞろと出てきてるわけです。当時はフレックスタイムを導入していて「コアタイムは10時から15時まで」としていたとはいえ、あんなに大きな地震があって、お客様は9時前に出社しているのに、商社である我々が10時に出社しているというのは世間の常識からかけ離れていると危機感を抱き、すぐフレックスをやめろと言いました。ただ、「長年の制度ですから、きっと労使で揉めます」と担当部署から言われたので「だったら、まずは組合員ではない部課長だけ朝9時までに来なさい」と。上司が早く来れば、部下も自ずと早く出社すると考えたわけです。

加藤朝食を無料で配布したのも、社員の早い出社を促そうと。

岡藤そうです。ただ上に従え、というだけではだめです。朝早く出社することで家庭ではどのような問題があるか?例えば、早く出社をするということは、それでなくても子どものことで忙しいのに、さらに早く起きて家族の朝食を作らなければならない。それを軽減するために会社で朝食を配布するようにしたんです。また、商社は過去より多残業体質で、残業代が生活給の一部になっていました。朝早く来て、夜早く帰ると、朝の時間は仕事に集中しやすいため、効率が上がる一方で、残業代が減るという問題があったんです。それを解決するために、朝8時より前に出社した場合、9時までの時間外手当を5割増にして、夜に残業をするなら朝にシフトしなさいと。今は約45%の社員が8時までに出社しています。私はもっと早い朝7時までには出勤してるんやけどね(笑)。社食で配布している朝食メニューも相当充実させています。

加藤朝の社員食堂の様子、覗いてみたいです(笑)。

岡藤ひと昔前の上司は、家で夕飯なんて食べないし、残業して遅くまで会社に居て、残っている部下と「一杯飲んで帰るか」と。だけど、そういうのはもう古い。早く出社して仕事をこなしたら、堂々と早く帰って、小さな子どもがいる女性なら託児所に子どもを迎えに行って、帰りにスーパーに寄り、一緒に家族みんなで食事ができる。他にも健康のためにトレーニングや勉強もできるし、自己研鑽に励む時間が取れる。残業ばっかりしている人間で優秀な人はいない、というのが私の持論や(笑)。

加藤朝型勤務は家庭や自分と向き合う時間にもつながるんですね。

岡藤やっぱり会社は長続きせないかんわけで、そのためにいかに社員の幸せを考えるかが大事なわけですよ。社員が働きがいを持ってがんばってくれれば、業績が上がる。そうなると株主の方への配当も増え、お客様の商売も伸びる。このように、全てのステークホルダーの幸せにつながるんです。

加藤民間企業として初めて国立がん研究センターと提携して、がんになった社員の仕事と治療の両立支援を始められたというお話も素晴らしいなと思いました。

岡藤2人に1人ががんになる時代やのに、今までは「がんだと言ったら仕事がなくなってしまうのでは」と会社にもなかなか言えない人も多かった。また「万が一のとき、家族はどうなってしまうんだろう」と心配にもなる。だから、がんになった社員には会社が全面的にサポートし、最先端の治療を受けながら働き続け、活躍できる体制をつくりました。がんの治療と仕事の両立ができれば、業績として評価しボーナスにも反映する。万が一のことがあっても、子どもが大学院卒業まで会社が学資を援助する。そのことで安心して治療と仕事に専念することができる。何かとドライな外資と違って日本の企業なんやから、「社員は伊藤忠の家族」という温かさを持っていたいね。

加藤言葉で掲げることができても、実際に実現させることは、すごく大変なことだと思います。

岡藤最初に約束を守ることが肝心。その上で一度動き出せば、社員も信頼してくれる。

2024

VOL.341

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