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スピーゴラ 代表/鈴木幸次さん

鈴木さんによると、生まれ育ったのは靴製造が地場産業の神戸市長田区。彼のお父さんは靴の型紙づくりを主に手掛ける仕事に携わっていた。靴作りが周囲にある環境ではあったが、子どものころから靴作りに憧れていたわけではなかったという。

「親の仕事を見ても詳しい内容までは分からなかったですが、楽しそうに仕事をしていた印象です。父は僕たちに『物作りは楽しい』と話していたし、私も楽しそうだと思っていました。でも、靴を自分が手作りすることなんて考えてもいませんでした」と鈴木さん。

子どものころは小学校から始めた野球に夢中で、中学・高校時代は野球部で活躍し、将来の仕事については、特に考えていなかったそうだ。

24歳の頃の鈴木さん
24歳の頃の鈴木さん。フィレンツェの書店で靴の本を手にしているときの様子だ。(画像提供:鈴木幸次さん)

働くはずだったイタリアの工場が閉鎖

大学にも進学するが、特にのめり込むものとの出会いもなく、アルバイトに励む毎日。途中で大学中退を経て、飲食店、スキー場のロッジ、マネキン屋、焼却炉の製造、靴工場など職種は様々。当時のアルバイト経験について鈴木さんは次のように言う。

「焼却炉を作るのは楽しいし、3年働いた靴工場は辛いけれど、向いていなくはなかった。いろいろなアルバイトを通じて、それぞれの場所での人との出会いが楽しく、様々な現場での経験ができた。そして自分に向いていること、楽しめることを選択できました」。

靴工場でのアルバイトへは、父親の下で型紙の勉強を続けながら通っていた。そうしていると、1997年、イタリアで靴製造を学ぶことになった。ところが人の紹介で働くはずだったパルマの工場が閉鎖。急きょ、シエナの語学学校に4ケ月通い、イタリア語を習得し、エンポリ(トスカーナ州フィレンツェ県)にある専門学校で1年間、靴のデザイン、パターンを学ぶことに。学校の名はサルテコ。靴のほか、鞄や洋服作りも教えていた専門学校である。

所狭しと道具や木型が並ぶアトリエ。

所狭しと道具や木型が並ぶアトリエ。

ハンマーは作業ごとに異なるものを使う。(左から)土踏まずの加工用、ヒールの取り付け用、吊り込んだ後アッパーを叩くためのものだ。

ハンマーは作業ごとに異なるものを使う。(左から)土踏まずの加工用、ヒールの取り付け用、吊り込んだ後アッパーを叩くためのものだ。

2階に並ぶ木型の数に圧倒される。

2階に並ぶ木型の数に圧倒される。

取材陣も、ものすごい数の木型に驚かされた。

取材陣も、ものすごい数の木型に驚かされた。

イタリアで見つけたものも含め、工具の数がとにかく多い。

イタリアで見つけたものも含め、工具の数がとにかく多い。

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