「刀」森岡社長に聞いた! 提案を通すコツとは─?【加藤綾子/一流思考のヒント】

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「カトパン」ことフリーアナウンサーの加藤綾子さんが一流のトップに組織マネジメントや成功のヒントを探り、そっとシェアする「一流思考のヒント」連載。

第7回「刀」代表取締役CEO 森岡 毅さん[前編]

加藤 綾子さん、森岡 毅さん

※最後に加藤綾子さんのスペシャルフォトギャラリー付き!

Profile
加藤綾子 Ayako Kato
1985年生まれ。2008年フジテレビ入社、看板アナウンサーとして活躍。16年よりフリーアナウンサーとなり、さらに活躍の場を広げる。4月から『世界に発信!SNS英語術』(NHK)、『MUSIC FAIR』(CX)にて新たにMCを担当。4月〜6月クールのドラマで話題となった日曜劇場『ブラックペアン』(TBS)では本格女優デビューも果たした。

森岡 毅 Tsuyoshi Morioka
1972年生まれ。戦略家・マーケター。神戸大学経営学部卒業後、96年P&G入社。10年USJ入社。同社CMO、執行役員、マーケティング本部長としてUSJ再建の使命完了後、17年マーケティング先鋭集団「刀」を設立。最新刊に『マーケティングとは「組織革命」である。個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド』(日経BP社)。

経営もマーケティングも利益を上げるだけでなく『組織を作る』という意識が大切。それは経営者や上層だけでなく、全員の特権です。
(森岡さん)

目的を突き詰めたらブレず、人に好かれようと思わない

加藤森岡さんとは先日、Eテレの『知恵泉』という番組で共演させていただいて、この連載の読者の方々にぐっとくる言葉があるなと思ったんです。今日またお話を聞けるのが、とても嬉しいです。

森岡ありがとうございます。少しでもお役に立てるなら。

加藤早速ですが、森岡さんは大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)を再建された優秀なマーケターでいらっしゃいます。USJに入られたきっかけはなんだったんですか?

森岡36歳のときに、年間の売り上げが数兆円で社員10万人のP&Gから、当時は売り上げ700億円を切っていた社員約800人のUSJに転職しました。私は昔から経営者になりたくて、P&Gでもそこそこの立場をもらって良い扱いをしていただいたんですが、大きな会社だから学べないこともあって、組織の階層の中で出世していく自分に達成感を感じてしまうと、会社の外にある本来の社会のルールが見えなくなってしまうことがある。P&Gは外資だったので私はアメリカの本社でも働かせていただきましたが、大きな会社でそれなりの肩書きを背負って何十年働いてもやっぱり組織の一部でしかなくて、株主への配慮や債権者や銀行との交渉といった会社全体を見ることは、ついぞ知らず人生を終わってしまう。つまり本当の経営というのは一事業とは違うわけで、経営をやりたいなら大きな組織の中で気持ちよくなっていてはまずいと思いました。

加藤会社をサイズダウンしても、USJのほうが経営を学べる可能性があったと。

森岡おっしゃる通りです。USJでは社長がいて、その下に本部長が5、6人いて、さらに部長が10数人いたんですが、私は断トツの最年少で、部長の一人としてポジションを与えてもらいました。

加藤ただ、一言で経営といっても壮大なイメージを持ってしまいがちです。森岡さんの考える経営とはどんなものなんでしょうか?

森岡「組織を作る」ことですね。

加藤経営者でなく中間管理職やサラリーマンでも「組織を作る」との意識は大切にすべきですか?

森岡組織を作るというのは「組織を動かす」ことでもあって、それは経営者だけの特権ではありません。また、どんな立場であれ、必要なのは提案を通す力です。ミドルマネジメントであれば「この人のやりたいことにかけてみよう」という意思決定に携わっている上層の信頼を勝ち取る力が必要。ただ、そういう信用貯金は貯めていかないとだめです。私はUSJに入って一ヶ月くらいしか経っていないとき、自分の父親ほどの年齢のアメリカ人社長に「ハリー・ポッターをテーマにした新しいエリアを作りたい」と提案して「会社を潰す気か?」とちょっとここでは言えないような言葉で罵倒されたことがありました(苦笑)。

加藤信用貯金以外にも、提案を通すコツはありますか?

森岡会社という船が進むべき道筋を考え、そのために何を変え成し遂げたいのかを突き詰めたら、ブレないことです。次に大切なのは、人に好かれようと思わないこと。なぜなら、組織を変えることは既得権への挑戦でもあるので、あと数年働けば逃げ切れる50代以降の方々はほとんどが反発します。だから、嫌われるのは当たり前だと思って、誰がどういう手で自分の足を絡め取ってくるのかを全て予測して、やられる前に、反対しそうな人を各個撃破するんです。

加藤具体的にはどうやって?

森岡私の場合は正攻法です。「皆さんが10年も頑張ってきた作品のUSJが、これから正しい方向に向かうためには、私の提案が正解なんです。なぜなら、データ分析に基づいた強いエビデンスがある。だから、やりましょう!」と正々堂々と主張し続けました。小狡いことをやってはだめで、表立って私に対して反対できなくなる状況を作り上げるわけです。

2024

VOL.341

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