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森岡 毅さん

各々の弱みを改善させるより、強みを理解して褒めることが大切です
(森岡さん)

加藤意思決定者である社長への説得の仕方はまた変わりますか?

森岡基本的には同じですね。ハリー・ポッターを提案したときも、社長には「絶対に失敗する」と高圧的に反対され続けましたが、「いや、成功します。なぜなら数学的に自明だからです」と言い続けました。そうしたら、USJに入って1年が経ったある日、いつものように彼から猛反撃を受け続けていたら、突然「OK. You’re gonnado it」と言われたんです。

加藤森岡さんはずっと試されていたということですか?

森岡私がどれだけシュアな覚悟と自信を持って提案しているのかを、社長は1年かけて確かめていたのだと思います。でも、OKをもらった途端に膝がぶるぶる震えてきて、「これが武者震いか」と思いました(笑)。450億円という、さすがに会社が吹っ飛ぶ金額を投資しなければならなかったので。

加藤社長の姿勢には、大将の器のようなものを感じますね。

森岡社長は弁護士出身で、マーケティングも数字も専門外でしたが、自分にはない専門性に秀でた人間を外から引っ張って使いこなすことで、会社の業績を上げることに成功したと言えます。簡単にオーケーを出したり、石橋を叩きまくって壊す経営者も少なくない。でも、叩きまくった結果、最終的に大きな賭けに対して「やろう」と意思決定ができる器は、私もさすがだなと思いました。

加藤上への提案の通し方以外に、社員の方々との関係の築き方は、どんなことを大切にしたらいいですか?

森岡組織とは人の強みを組み合わせたテトリスみたいなものです。だから、各々の弱みを改善させるより、弱みを理解させたうえで強みを褒めて「あなたを理解しているよ」と認めることが大事じゃないでしょうか。チームに欲しいのも自分と違う能力を持っている人で、物事は多角的に見ないと本質が見えない。USJでもそんな人間関係のもとチームの力で企画を当て続けた1年間が、私の信用貯金になりました。

加藤森岡さんには、「弱み」ってないんですか(笑)?

森岡たくさんありますよ。私はある目的に対して、みんなにも同じ方向を向いて働いてほしいんですが、あるべき水準まで達していない仲間がいると、壮絶な怒りが出てきて、つい激しく攻撃して怖がられてしまう(苦笑)。自分の性格を耐え難いと思うときすらあって、そのせいで若い時分はたくさん失敗しました。力づくで従わせても彼らの根本的なパフォーマンスが上がるわけではない。だから、押し相撲をする人がたまにフェイントをかけるように、ある時期から自分の人間らしさや抜けている部分を見せることも大事にするようになりました。

『マーケティングとは「組織革命」である。個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド』

マーケティングとは「組織革命」である。

ベストセラー著作も多い森岡 毅氏の待望の新刊は、2017年株式会社「刀」を立ち上げたご自身が、実戦で培ってきたビジネスで成功するために最重要な「ヒトと組織」の本質と、一人のサラリーマンでも「組織」を動かす起点になるための秘訣を初めて明かした一冊。1728円(日経BP社)

(後編へ続く)

スペシャルフォトギャラリー

[MEN’S EX 2018年7月号の記事を再構成]
撮影/前 康輔 スタイリング/後藤仁子 ヘアメイク/金子友美(山田かつら) 文/岡田有加(edit81) 撮影協力/ホテル雅叙園東京

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