最初のパリでファッションに目覚め、2度目はブランドに遭遇。失敗もしながら、オシャレに関するあれこれをパリから教わりました。
─11区「ル・シス・ポール・ベール」にて

初めてのルイ・ヴィトン、そして初めてバカラを知ったころ

基本的には、海外では”郷に入ったら郷に従え”で、その現地のものを食べるようにしている。が、パリに限ってはなぜか日本食を食べたくなる。その理由は定かではないが、パリの気候のせいなのかもしれない。
とはいうものの、最近メディアにも取り上げられ注目を集めているビストロがあると聞くと、出掛けてみたくなるのが人情ってものだ。この日のランチはそんな一軒、11区のビストロ、「ル・シス・ポール・ベール」で。名物の鳩のロースト、目玉焼きに黒トリュフ、そして18ヶ月熟成の生ハムをオーダーし、スタッフの皆さんとシェアすることに。
僕は”はたらくオトナの昼ご飯”にフォーカスしたNHKの「サラメシ」という番組のナレーションを担当させていただくようになってから、様々なランチ事情を知ることになった。その目から見てもこの店のランチのレベルはかなり高い。日常の生活の中に豊かさを感じさせるのが、またパリらしい。
いつもはお酒は飲まないのだが、この日は調子にのって赤ワインを少々口にしてしまった……。ワインの楽しさは、ワインそのものだけでなく、グラスなどの周辺的なものにもあると思う。クリニャンクールというノミの市。綺麗なグラスに一目惚れしたのが、3度目のパリ。店で「バカラのグラスだよ」と教えられ、聞き慣れない名前に戸惑ってしまったことを、ワインのほろ酔い気分の中で、なぜか思い出してしまった。バカラとの出会いもパリだったのだが、それがバカラショップでなかったというのも私らしい。
この日前菜に注文した18ヶ月熟成の生ハムの他、店内のショーケースには新鮮な生ハムやラードがずらり。その場で薄くスライスしてくれる。お酒をほとんど飲まない中井さんだが、ジビエを味わうときは赤ワインも少々。パリならではのお洒落な内装や、スタッフとのコミュニケーションも、また楽しい。