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そんなI-PACEを語る上では、自動車のグローバルマーケットに於ける2大トレンドである電動化そしてSUVというふたつのキーワードが、まず念頭に置かれる。特にプレミアムメーカーにとっては、ここは外せないポイントだ。

未だ普及のフェイズにまでは至っていないとは言え、各メーカーともEVの開発を宣言し、あるいはEV専用ブランドを立ち上げるなど、EV化への潮流は確かなものとなりつつある。一方、SUVのセールスが急激に伸長していることは、それこそ街を行くクルマたちの傾向を見れば、これまた明らかだ。実際、ジャガー自身にとってもブランド初のSUVとして発売したF-PACEは、世界的ヒットによってブランドのシェア、そして認知度を飛躍的に高めることとなった。

I-PACEは、このふたつのトレンドを融合させて、ブランドが最先端の位置にいることを強くアピールしたいという思惑の下で生まれた”EVのSUV”である。ドイツ勢を筆頭とするライバル達に先んじての一撃であることも、興味を惹くところだ。

サステナ

新しいマーケットを切り拓くのが狙いなだけに、I-PACEはルックスも実に攻めている。きわめて短いフロントフードは往年のジャガーのイメージとは180度異なるところだし、Aピラーが前に出されたキャビンフォワードのハッチバック・クーペフォルムに最大22インチの大径タイヤ&ホイール、4682mmの全長に対して2990mmもの長さが取られたホイールベース、大きなグラウンドクリアランスの組み合わせは、いかにも未来的と言いたくなる雰囲気を醸し出している。

未来的などとベタな言葉を使いたくなるのは、そのフォルムがフロントにエンジンを積んでいないことを雄弁にアピールしているからだが、一方でフロントグリルは他のジャガーと同じく大きく口を開けている。しかしながら、これはアイデンティティの主張だけが理由ではない。EVだってPCU(パワー・コントロール・ユニット)やモーター、そして駆動用バッテリーなど、冷やさなければならないコンポーネントが大量に搭載されているからである。

サステナ

ジャガー自身が「ブランドのニューチャプターの始まり」とするスタイリングは正直、最初は奇異にも思えたのだが、中身の新しいわりに表現はクラシカルなテスラ モデルSなどと較べれば、求めた要素がストレートにカタチになっているすがすがしさのようなものがあるのも確か。眺めるうちに気に入ってきた。但し、たとえば男性は好きなBMW i3を受け入れられないという人が多い女性が、どんな反応を示すかは気がかりではある。

そのボディは全体の94%をアルミニウム製とし、リチウムイオンバッテリーをフロア下に搭載することで重心高の低下、ほぼ50:50という前後重量バランスの最適化を実現している。Cd値は0.29と優秀。捻れ剛性値は36000Nm/deg.と、スポーツカーのFタイプにも匹敵する高剛性を誇る。

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