明快さ、技術、知性、エモーション。新たなデザインフィロソフィーの本質
2025年9月にミラノで初披露され、直後のIAAモビリティ2025でも視線を集めたこの完全電動ロードスター「Audi Concept C」。ブランドが次に進むべき方向を雄弁に語る存在だ。アウディが掲げる新しいデザインフィロソフィー──明快さ、エモーション、卓越した技術、知性的なデザイン──を、ひとつの造形へと結晶させたモデルとなる。公道走行認可を受けたコンセプトカーという点も、単なるショーモデルと一線を画している。
デザインは大胆で、一目でアウディと分かる個性に満ちている。低く構えたプロポーション、光の反射で表情を変える面構成、凝縮感のあるリアまわり、いずれも次世代のアウディを象徴している。オープントップの開放感とハードトップのエレガンスを同居させる思想は、将来の市販モデルにも引き継がれるという。このモデルでアウディは電動化時代におけるスポーツカーの姿を、具体的に提示した。
インテリアは、同ブランドが長年磨き続けてきたクラフトマンシップが色濃くにじむ。厳選された素材とカラーは、空間そのものに触覚的な質感を与え、機能美と温度感の両立を図る。五感に訴える“空間体験”こそが、Concept Cが目指したインテリアの核心である。
操作系は、デジタルとアナログの理想的なバランスを追求した。折りたたみ式の10.4インチディスプレイは使用時のみ姿を現し、静謐なキャビンを保つ。物理スイッチやステアリング上の操作エレメントは、ブランド独自の「アウディクリック」と呼ばれる洗練された操作音や触感を備え、直感的でありながら機械的な精度を感じさせる。過度にデジタルへ寄らず、人が扱う道具としての誇りを宿した設計が光る。
背景には、TTやR8、RS 6、さらにはAuto Union Type Cを生み出してきたアウディのDNAがあるという。技術とデザインの融合という哲学を継承しながら、その先を描こうとする姿勢が随所に息づいているのだ。
“明快さ(Clarity)”を軸に据えた新たな一歩。アウディはこのモデルで、電動化時代のスポーツカーの方向性を提示したと言えるだろう。
アウディジャパン
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