観光メニューをなぞり、体験を詰め込む時代から、ひとつの目的に贅沢な時間を費やす“一点集中型”の旅へ。ラグジュアリーな旅のあり方は、今まさに変わろうとしている。
記憶にのこる【時間】
松本本箱[長野・松本]
知と寛ぎが交差する最高のチルタイムを
1万冊の蔵書に囲まれる宿。松本本箱では、時間を忘れて読書に耽ることこそが、人生で最も実りある時間であると気づかされる。
1万冊の蔵書とともに本の世界へ籠る温泉宿
開湯1300年とも伝わる信州・松本の名湯、浅間温泉。この温泉郷のシンボルであった老舗旅館「小柳」の再生プロジェクトで誕生した「松本十帖」は、ブックホテル「松本本箱」を核とする複合施設だ。
蔵書は約1万冊。“新しい知との出会い”をコンセプトとするブックストアは、「本の道」「げんせん本箱」「オトナ本箱」「こども本箱」「三六七」の5エリアで構成される。知的好奇心を刺激する多様なジャンルの書物が美しく並び、宿泊者は24時間いつでも手に取れる。
フロントから続く「本の道」では、過去から現代のベストセラーを辿り、時代の流れを旅する感覚に浸れる。
フロントはバーを兼ね、クラフトビールや地のワインを「本の道」(写真下)のテラスなどで味わえる。
「げんせん本箱」は、選書家・幅 允孝氏が監修した日本初の“エキシビション型書店”。
「オトナ本箱」(本頁トップ写真)は旧大浴場を改装したブックバスで、写真集を中心に“大人が本に溺れる”時間を演出する。「こども本箱」には浴槽をボールプールにした空間に約2000冊の絵本が集まり、親子で本と親しめる。「三六七」では、レストランの壁面を彩る食の本が土地の息吹を伝えてくれる。
本を読むという行為そのものが貴重な“体験”となる旅。時間を忘れ、ただ本の世界に没頭することが、何より贅沢な時間となる。
全室に源泉掛け流しの露天風呂を備える
全室に源泉かけ流し露天風呂を備える。なかでも最上階角部屋のグランスイートは、小柳時代の客室3室分を生かした空間だ。145m2超の広さで、一面の窓からは北アルプスの夕焼けが巨大なスクリーンのように広がる。
松本本箱
長野県松本市浅間温泉3-13-1
TEL/0570-001-810
料金/1室2名利用で1泊夕朝食付き1名3万7983円~(サービス料込)
滞在時間/IN15時、OUT11時
[MEN’S EX Autumn 2025の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)
※表示価格は税込み





