高速では優れた空力を実感できる
ニスモバージョンはいわばメーカー純正のコンプリート・チューニングカーというわけで、その改造手法そのものは先に出たスカイライン ニスモとよく似ている。専用チューンのV6エンジン(+15psの420ps)を積み、足(サス)と骨(車体)をさらに強固にし、インテリアをモータースポーツ風味としたうえで、外観ではエアロダイナミクス性能を極めた。特にZの場合はフロントマスクデザインを大胆に変えており、その昔のGノーズのようにスタンダードモデルとはかなり異なるイメージの顔つきとなっている。
エンジンパワーUPもさることながら、最大トルクも475Nmから520Nmへと引き上げており、実際に乗ってみればその恩恵をまずはたっぷり感じることができた。トランスミッションは9速ATのみで、標準モデルに存在する6速MTの設定はないのだが、低回転域からもりもりと湧き出るトルクを知ってしまうと、3ペダルを駆使する余裕はなかったなというのが正直な印象だ。何しろシフトアップポイントとなる4000回転あたりまであっという間に吹け上がってしまうのだから。
それともう一つ。車体と足回りの強化で望めば面白いように内を向く。アクセルコントロールで向きを変えることもまた楽しみの一つ。ここは一つ両手をステアリングホイールに落ち着けて意識をハンドリングに集中させた方が良さそう、というわけだ。
日産 フェアレディZ ニスモのディテールをチェック(画像6枚)
……なんて風に書くと、なんだか扱いづらいじゃじゃ馬のように思えるかもしれない。実は凄まじくキレッキレのリアルスポーツカーかというとそうでもないのだ。それが証拠に900kmほどのロングドライブも試みたが、終始ご機嫌なグランドツーリングカーとしても走ってくれた。速度域が新東名高速くらいに高くなってくると、空気の裂き方や路面への押し付けられ方がノーマルとは格段に違ってくる。とにかく半端ではなく安定しており、視線を前方やや遠くの行きたい方向にさえ向けておけば、レーンのキープ力も非常に高い。つまり、ラク。優れた空力を実感できることもまた美点である。これはGT-Rニスモでも同じだった。
よくできたスポーツカーはよくできたGTにもなる。それが高性能車の現在地でもあった。
文=西川淳 写真=タナカヒデヒロ 編集=iconic












