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時代が語る、トレンチコートの進化

モンタンは’70年の映画『仁義』、ベルモンドは’63年の映画『いぬ』の装い。同じトレンチですが、両者は別物といってよいでしょう。ベルモンドが着ているのは、戦争中に軍服として作られたトレンチに極めて近い。大きなシルエットに対してウエスト位置が高いのが特徴的です。

“戦中のムードを残した「軍服」”

ジャン=ポール・ベルモンド “戦中のムードを残した「軍服」”
Jean-Paul Belmondo(ジャン=ポール・ベルモンド)in 1963

かたやモンタンのトレンチは時代が下り、街着としての進化が随所に見られます。軽やかな一枚襟で、写っていませんが着丈は短め。そしてレザーのくるみボタンが付いています。ベルトを巻きつけた着こなしも洒落た雰囲気に見えますね。ちなみにベルモンドのほうは、しっかりバックルにベルトを通しています。ギャング役ですが、だからこそ身ぎれいに装って社会に潜まなければならない。監督のJ.P.メルヴィルは戦時中レジスタンス活動を行っていましたが、そんな彼の経験がこの装いに表れているのかも。

“街着として洗練されたトレンチ”

イヴ・モンタン “街着として洗練されたトレンチ”
Yves Montand(イヴ・モンタン)in 1970

談・中込憲太郎

Profile
Kentaro Nakagomi
「コヒーレンス」や「オルビウム」などを手がけるクリエイティブディレクター。俳優、作家、芸術家など様々な文化人のライフスタイルに通じ、その博覧強記ぶりでパリ、イタリア、NYなど世界中のバイヤーから多大な尊敬を集めている。


関連記事はこちら:コート・レジェンズよ永遠に。



[MEN’S EX Winter 2024の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)

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