接着への徹底的なこだわりは競技用靴の名門ならでは
ランウォークはセメンテッド製法で作られている。マッケイやグッドイヤー製法と比べて簡易な製法と考える人も多いが、2回行う糊塗り❻をはじめ、山陰アシックス工業の丁寧な仕事を見れば考えを改めるはずだ。
履く人のパフォーマンスを向上させる柔らかで軽い履き心地の靴を作るには、アッパーとソールを糊で貼り合わせるセメンテッド製法が有利。とはいえ、ソールがすぐに剥がれてしまうようではダメで、とくに競技用の靴も多く手がけるアシックスは、接着の工程にもとことんこだわっている。ソールの接着の完成度を高める真空圧着機❼を導入しているのも、その姿勢の表れといえる。
手作業で行うフィニッシング❽からも、上質な靴を作るという情熱がひしひしと感じられる。もちろん検品にも隙がなく❾、製造した全製品に対して実施し、少しの汚れでも弾かれる仕組みになっている。すべての靴はシュータン裏のナンバーにより管理されており、万が一不具合があった場合、どこの工場で何年何月に生産されたかもすべて分かる。こうしたトレーサビリティー性の高さも、ランウォークの高い品質のひとつなのだ。
ランウォークの製作工程の1つ1つは、とても地味な作業かもしれない。しかしその1つ1つに情熱を注ぐ“地味の積み重ね”こそが、アシックスの強み。自社の靴を履く全ての人に幸せになってもらいたいという、創業者鬼塚の精神が確かに息づく靴なのだ。










