石田純一さんとの急造ペアでまずは完走を目指す
筆者はゲストドライバーとして、俳優の石田純一さんと1938年式アルヴィス 3リッタースペシャルで参戦した。戦前車といえば馬車から現代的な自動車への進化の途中にあるようなモデルで、ルーフはなく、ボートにエンジンと車輪をつけたようなカタチが大半だ。それゆえ、酷暑はもちろん雨風でもパッセンジャーは辛い。そのうえ古いとなれば、メカニカルなトラブルも頻繁に起きる。はたして完走できるのかどうか、走る前は不安でしょうがなかったのだが……。さらに石田さんの運転技量がどの程度のものか知らなかったのも不安要素だ。クルマがお好きだとは知っていたし、有名スーパーカーを何台も乗り継いでこられたから下手でないことは確かだったが。
クラシックカーラリーでは主催者から供給されるルートマップ(コマ図)を頼りに、ドライバーとナビゲーターが協力しあってゴールを目指す。途中では様々な競技も用意されているが、急造ペアには競技のための練習を事前にすることは不可能で、まずは欲張らず完走を目指そうということに。
基本的には石田さんがドライバーを務め、タイミングを見計って筆者(西川)に交代することに。当然ながら石田さんも筆者も戦前のアルヴィスなど初めて(事前に一度だけ触ったのみ)ドライブするから、水戸のスタートではけっこう緊張したのだが……。
ドライバー石田さんでスタートすると、これが全くもってスムースに走り出す。クルマは戦前、道は不慣れとなれば、精神的な負担が大きくドライブは乱れがちになるものだけれど、まるで不安なく走り出す。なんなら会話も弾むほどで、順調に滑り出した。
ラリーの様子をチェック(画像9枚)
戦前車なので雑音はうるさいし、振動も大きい。生では会話も成り立たないということで、インカム付きのヘッドセットを用意して走る。ヘッドセットをつけているだけで、いっぱしのラリーコンペティター気分になるというものだ。実際には競技などほとんどスルーだったけれど!
面白いことに、想像していたほど暑さも感じない。緊張感はもちろんあったし、クルマのことも常に気がかりだった(特に水温計からは目が離せない! )けれど、ボートのように剥き出しで走るからかえって風の通りもよく、フツウの現代的なオープンカーより涼しく感じたのかもしれない。
途中で何度かドライバー交代し、筆者もアルヴィスを堪能する。車体が軽いうえ(重くなるような要素が何もない)、エンジン排気量が3リッターもあるので、低速から力強く、硬いマニュアル操作と弱いブレーキにさえ慣れれば街中を走らせること自体はさほど苦ではない。ややしんどいのは高速道路か。風がもろに顔に当たるし、車体はフラフラ揺れるし、ブレーキをかけると横っ飛びしそうになる。面白かったのは筑波山のワインディングロード上り。曲げるのが難しいクルマだけど、だからこそタイミングを掴んで車体ごと滑らせるように曲がっていくという楽しさがあった。
石田さんとは初対面だったけれど、とても気さくで走り始めてすぐに打ち解けた。とても気を使われる方で、そのうえ優しい。なるほど自分が女性だったらすぐに惚れてしまうかも、と思った次第。クルマの運転も上手だし!
クラシックカーの世界へ入ることはなかなかハードルが高いように見えると思う。けれどもいったん入ってしまえば、みんな単なるクルマ好き。話すことといえばずっとクルマのことばかり。クルマがお好きでクラシックカーに興味のある方はぜひ、勇気をもってハードルを超えてみてほしい。はじめはそんなに高いクルマでなくていい。1960年代の英国製ロードスターあたりを手に入れて、まずはアジア自動車ラリーのようによくオーガナイズされて初心者にも優しいラリーにトライしてみてはいかがだろう。
文=西川淳 写真=アジア自動車ラリー 編集=iconic















