
「『ヘネシー」』の味わいの特徴を一言で伝えるのは難しいですが、どのアイテムについても共通しているのはとにかく完璧であり、トップクオリティであることです」と語るルノー氏。完璧であり最良の品質であることが、ヘネシーのスタイルなのだ。

では、完璧であるためにどのようなことが求められるのか――。「コニャックはブレンドが重要。なにをブレンドするか、すべての要素を知り尽くす必要があります。そのために何時間も何時間もかけて、テイスティングを続けます。中に入れるものを一つ一つ正しく知ることが完璧なブレンドへとつながるのです」。
ヘネシーのコニャックづくりにおいては、まさにテイスティングの作業こそが鍵であり、最終工程のブレンドにつながる大事な道のりなのだ。

さらに、原酒のコンディションを知り、見極めることも重要だ。様々な畑から収穫したブドウを蒸留し、樽に詰めて時間をかけて熟成させた様々な原酒がメゾンには眠るが、ある時点でベストがやってくる。常にテイスティングして、そのベストの状態を見極めることが求められるとルノー氏は言う。そのために毎朝11時から同じ部屋、同じグラス、同じ湿度、同じ温度、同じメンバー、同じ照明のもとでテイスティングしているという。その数なんと60サンプル以上。それを毎日行っているそうだ。
「ブレンダーとしてのキャリアをスタートして最初の10年はとにかくテイスティングを学びます。より良くテイスティングができれば、より良いお酒ができるのです」。現在、ルノー氏以外に5名のブレンダーがいるが、テイスティングの作業はそれぞれが試飲して、意見を言い合う。ほかのメンバーの意見を知り、原酒がどのように変化を遂げいくのか、ブレンダーそれぞれの脳内に原酒のデータベースが一つ一つ整えられていくのである。
熟成という長い歴史を経て生まれる「ヘネシー」のコニャック。だが、その品質の裏にはブレンダーたちによる「完璧さ」を追い求めた日々の研鑽があることを忘れてはならない。まさにヘネシーを飲む時間は「贅沢な時間」といえよう。
「贅沢な時間とは自分にとっては純粋な喜びの時間です。この人と、この場所で、この状況で、と自分で思い描いて、そのための準備が必要だと思います」とルノー氏は語る。

一方でまだ、日本ではコニャック文化はまだまだ一部の愛好家のみの文化にとどまっている。「とにかくまずはこの味を試してほしいですね。ヘネシーと日本とは深い歴史があり、文化的なきずながあります。そうした結びつきをもっと強いものにしたいですね。そのためにも、まずは皆さんに味わっていただきたい。絶対に新しい発見があると思います」とルノー氏は力説する。

さらに、日本で飲むヘネシー X.Oのロックが最高の1杯だとルノー氏は言う。「日本には最高のグラスと完璧な氷があります。素敵なバーでヘネシーをロックで飲める日本の皆さんは幸せですよ」。悠久の時と匠の情熱が造り出した「完璧」な味わいは、素晴らしいひと時と体験を貴方に与えてくれることだろう。