1.2リッターとは思えぬパワフルでスポーティな走り
試乗車は、1.2リッターのガソリン仕様だった。欧州ではインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを受賞した定評のあるエンジンであり、予備知識なしに乗ってこれが1.2リッターだと気付く人はほぼいないだろう。走り出しからパワフルで、エンジンの吹け上がりは軽く、トランスミッションも小気味よく変速していく。スポーツモードを選択すると、1速下のギアをセレクトするので、パドルシフトもあわせて駆使すれば、よりスポーティな走行も可能だ。
パワートレインの違いによる車両重量をみてみるとガソリン仕様が1430kgなのに対して、PHEVは1740kgと310kgも重くなっている。PHEVは未試乗のためあくまで想像だが、これだけの重量差があればハンドリングの軽快感ではガソリン仕様のほうが勝っているはずだ。家庭に充電器があって、およそ60km圏内の日常使いは電気自動車としてカバーしたいという人はPHEVを選ぶのがいいだろう。
ADAS(先進運転支援システム)ももちろん最新のものだ。アクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付き)やフロント&サイドカメラによる360°ビジョンなどをはじめ、ステランティスグループのシナジーもあって、車線内の右寄りや左寄りなど、ドライバーの任意のポジションを維持してクルーズするレーンポジショニングアシストも装備する。これは例えば、高速道路での渋滞時にすり抜けしていく二輪車を避けるようなシーンでとても役に立つ。
新しい「40X」シリーズは、いわばセダン・ステーションワゴン・SUVのいいとこどりである。そのコンセプトは奇しくも、ステランティスグループ傘下として408の兄貴分にもあたる新生シトロエン C5 Xや長年のセダンの呪縛から解放されたトヨタ クラウンとも似ている。時代は変わり、これが“現代のセダン” いうことのようだ。
文=藤野太一 写真=柳田由人、Stellantis ジャパン 編集=iconic