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ランチはB級グルメ。それから、金沢おでんでハシゴ酒

グリルオーツカ

さて、先ほど香林坊から歩いたと言ったが、実は、その前に金沢のB級グルメの“ハントンライス”を食しに“グリルオーツカ”へ行っていたのだ。諸説あるが、ハントンの名前の由来は、ハンガリーの“ハン”とフランス語のマグロを意味する“トン”による造語だという。こちらのハントンライスは、ケチャップライスにトロトロのたまご、カジキマグロと小海老フライがどーん。ケチャップと自家製タルタルでお化粧を施されたボリューミーなひと皿だ。

ハントンライス

そして、メイン登場。実は、この後のことも考えて、“小”をオーダー。カジキマグロのカツがガリっとして、シンプルなケチャップのみのライスはしっとり。半熟加減の絶妙なたまごがそれらを繋いで、「ああ、絶対おいしいよね」な一品に。ベタだけど、こういうのがいい。観光客もいたが、ランチ時は地元のおじさんたちが集うというのもよくわかる。

金沢おでん

雪道と格闘しながらなんとかバスで金沢駅まで戻る。以前、この連載でも紹介した金沢おでんをハシゴしようという算段。だからこそ、ハントンライスは小サイズだったのだ。まずは、金沢駅の百番キッチン内にある“かなえきのちくわ”へ。中途半端な時間だったので、カウンターには空きがあってラッキー。ここでは、1100円の昼飲みセットをチョイス。おでんは自分では選べず、この日はたまごと大根、こんにゃくだった。酒はいくつか選べたので、福正宗を1合、常温で。

手足がかじかんでいたので、あったかいおでんがしみる。日本酒をグビリとやると、ほっとひと息。スーツケースを持った仕事帰りとおぼしき女性がサクッと飲んでいたり、おばあちゃんがのんびりひとり飲みしていたり、と入りやすい雰囲気がいい。でも、ボクは運悪く、マスク無しで大声で話すおじさんの隣に案内されてしまったので早々に退散。

黒百合

続いて、本命の“黒百合”へ。先ほど“かなえきのちくわ”に行く前にのぞいたら、やや並んでいたので少し時間をずらした。“金沢+おでん”で検索すると上位に出てくる有名店。こちらも駅の中の“あんと”にあり、アクセスは至極便利。テーブル席もあり、一品料理も定食もメニューが豊富で家族連れなどにはいいだろう。

で、相変わらずのおひとり様なので、サクッとカウンターへ。午後3時近くなのに大行列ではないにしろ、お客でいっぱいの店内。さすが。ボクが行ったとき、カウンターの向こうでは女性の職人さんがテキパキと切り盛りしていた。

金沢おでん

ハントンライスにおでんのハシゴで、実はもうかなり満腹。「昔はもっと食べられたよなあ」と、ちょっとさみしくなる。とはいえ、「せっかくここまで来たのだし」と、たまごに焼き豆腐、大根と鰯つみれをオーダー。もう体は温まっていたので生中も。ハシゴ食べをすると、出汁の方向性の違いなどがよくわかり、個人的な好みがハッキリする。本当はあと2軒ほど行きたいところがあったのだが、もう、腹が無理と叫んでいたので断念した。

おでん屋でもう少し時間がかかると予測し、遅めに予約していた新幹線を繰り上げる。紙の切符ゆえ、窓口に並んだら黒百合よりもよっぽど待たされた。アプリでサクッと変更できたらいいのに。スマートじゃないなあと思いつつ、車内で何かを食べる余力もないほどの満腹ゆえ、ひたすら寝て過ごす。

前半は仕事仲間と、後半はひとりで旅をした今回の冬の北陸路。相変わらず、食べまくりではあったが、50歳ともなると量に制約がでてきて若い頃のように「全部ください!」と言えないのが悔しいかぎり。でも、今後も旅先では思う存分、庶民的な普通においしいものから贅沢な逸品まで、しっかり食べられるように普段から体を整えようと心に誓った。

取材・文/藤村 岳

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