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ブランドの代表作となったクロノマスター スポーツの成功と今後の展望

MEN'S EX MEN’S EX 「クロノマスター スポーツ」が相変わらず絶好調ですね。まずはこのモデルが誕生した経緯から教えてください。


トルナーレ氏 私がCEOに就任したのが2017年で、17年・18年はブランドの基礎づくりの期間と捉えていました。その間に新たなコンセプトの時計がゼニスには必要だと考え、いくつかのモデルの構想をスタッフたちと練り上げました。そのひとつが「クロノマスター スポーツ」だったのです。


MEN'S EX MEN’S EX 「クロノマスター スポーツ」は最初から好調だったのですか?


トルナーレ氏 さまざまな準備期間を経て、ようやく発表にこぎ着けたときに運が悪く新型コロナの流行が始まりました。ところが、蓋を開けてみれば初日から驚くほどの大反響。いくら作っても生産が追いつかないのです。「これは、とんでもないモンスターを生み出したぞ!」と思いましたね。おかげさまで2年連続販売記録を塗り替え、昨年は過去最高の経常利益となりました。そこにはもちろん「クロノマスター スポーツ」の貢献があります。


クロノマスター スポーツ
3色インダイヤルの文字盤や一体型3連ブレスレットなど、過去モデルの要素を採用しつつ、セラミック製ブラックベゼルを備え、ケースも現代的な径41㎜にサイズアップ。1/10秒計測が可能なCal.エル・プリメロ3600を搭載。自動巻き。径41㎜。SSケース&ブレスレット。10 気圧防水。127万6000円

MEN'S EX MEN’S EX 何がそこまで人々を惹きつけるのでしょう?


トルナーレ氏 1960年代に我が社が開発した革新的なクロノグラフムーブメント「エル・プリメロ」を搭載し、当時と同じ仕様の3色インダイヤルの文字盤やブレスレットといったレトロなデザインを採用しています。しかしながら、けっしてリバイバルではないのです。歴代モデルからトラディショナルな要素を取り入れながらも、今の時代の空気感にぴったりはまった最新のスポーティモデルに仕上がっている。そこが多くの方々に支持されている理由ではないでしょうか。


MEN'S EX MEN’S EX ゼニスは今、どんな人々に支持されていますか?


トルナーレ氏 少し前はゼニスの購入層の平均年齢は44歳でしたが、今は30代まで下がっています。今の若い人たちは見る目が厳しい。それが作られたストーリーではなく、本物のストーリーであることを見抜く目をもっているのです。ゼニスにはエル・プリメロのストーリーがあり、それを守り抜いたシャルル・ベルモのストーリーがあり、現在は100%自社製のマニュファクチュールであり、3年前からはファクトリー見学もできるようになった。そうした歴史的ヘリテージを理解し、本物を知る人にこそ刺さっているのではないかと思います。


MEN'S EX MEN’S EX ところでゼニスは、現在さまざまな社会貢献にも取り組んでいますね。


トルナーレ氏 長年にわたり女性の8人に1人が罹患し、世界中で多くの人命を奪う乳がんに対する意識向上に取り組んできました。今年も国際的な乳がん啓発月間である10月に「クロノマスター オリジナル ピンク」を発売して、その売り上げの一部をスーザン G.コーメン乳がん財団に寄付することで活動をサポートしました。直径38㎜でピンクダイヤルのこのモデルは男女兼用となっていますが、ゼニスは今年からジェンダーレスを謳っています。また、本社内に太陽光発電施設を備え、電力の20%をそれで賄っているのも社会貢献の一環といえます。


クロノマスターのスペシャルエディション
乳がん撲滅の活動を行う財団をサポートするために製作したクロノマスターのスペシャルエディション。径38㎜の小ぶりサイズとピンクカラー文字盤を採用した男女兼用モデルとなる。今年10月限定で発売され、現在は販売終了。Cal.エル・プリメロ3600搭載。自動巻き。SSケース&ブレスレット。5 気圧防水。現在完売。

MEN'S EX MEN’S EX 最後に、来年の展望について教えてください。


トルナーレ氏 来年はパイロットウォッチの新作をリリースします。具体的にはまだ申し上げられませんが、ヴィンテージ感あふれるデザインになることでしょう。あとは「デファイ スカイライン」の新素材モデルやコンプリケーションの新作も予定しています。楽しみにしていてください。


ジュリアン・トルナーレ氏
ジュリアン・トルナーレ氏
2000年に入社したヴァシュロン・コンスタンタンでインターナショナルセールスのトップやマネージング・ディレクターとして活躍し、2017年にゼニスのCEOに就任。非常に情熱的かつフレンドリーにゼニスの魅力を語ってくれた。

ライフスタイルにこだわるトルナーレさんの愛用品を拝見

ベルルッティのレザーバッグ

取材当日にスイスから来日し、取材後にはその足で大阪へと旅立ったトルナーレ氏。そんな多忙な彼がいつも肌身離さず持ち歩いているのがベルルッティのレザーバッグだ。

トルナーレ氏が「私の小さな世界」と呼ぶこのバッグは、じつは今年の誕生日にゼニスの社員たちからサプライズでプレゼントされたもの。ヴィンテージな風合いのブラウンレザーが、当日着用していたグレーのスーツとも相性ばっちりだった。

「毎日持ち歩いているから少し傷がついているけれど、これだけは絶対に手放せないね」とうれしそうに披露してくれた。そしてもう一つ必ず持ち歩いているというのが、スイス産のチョコレート。「ゼニスもスイスブランドですからね。ちょっと小腹がすいたときに、チョコレートは欠かせませんよ(笑)」

撮影=椙本裕子 文=岡崎隆奈

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