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【森 万恭のライフフォト・エッセイ】#スカーフのようなタイ

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デザイナー/フォトグラファー【森 万恭のライフフォト・エッセイ】
気に入っている物を纏うこと、使うこと。

実は“こだわり”と言う言葉があまり好きではない。偏愛的な? マニアックな? と言うイメージが先行してしまい、なぜ? どうして? と問われても説明が難しいからだ。それよりも気に入っている……好きだ……と言ってしまった方が話が早い。気に入っている物を纏っているとワクワクし、少々自信も備わる。そして好きな器で食すれば、さらに美味しく感じ、好きな道具を使えば扱いも仕事も丁寧になる。言わば良いこと尽くめで日常も豊かになる。

タイ ユア タイのセブンフォールドタイ
タイ ユア タイのセブンフォールドタイ

スカーフのようなタイ

初めてタイを締めたのはいつ頃だったか忘れてしまったが、十代後半の頃の着こなしのお手本はジェリー・ルイスとアンソニー・パーキンスだった。そしてトラッド趣味ゆえに、選ぶ柄は水玉とレジメンタルが主体で、唯一の無地はニットタイだった。1998年、新しい店をプロデュースする際に──タイのセレクトは店舗の顔でセンスを問われるアイテムだが──吟味を重ねた結果、フランスのブリューワー社を扱うことにした。サプライヤーの素材や柄の趣味も申し分なく、縫製や仕上げも確かなものというのが選んだ理由だ。

当時、僕のスーツやシャツの好みは、英国趣味のデザイン、南イタリアの柔らかい仕立てで、タイは英国調にフランスのエスプリ。足元はオールデン、エドワード グリーン、ジェイエムウエストンの三択だった。その後に月日を重ね、スーツやシャツのスタイルは変わらずとも、タイはセレクトの幅を設けようと思っていた所に、タイ ユア タイの提案があり、裏地なしの七枚たたみで幅、長さを指定して特注した。セッテピエゲ自体は仕事でフィレンツェに行った際、好みに合う物を探していたが、幅や長さ、色柄など趣味に合うものが見つからず買わずじまいでいた。しかしやっと趣味に合うものが特注出来て、以降毎シーズンオーダーをすることになる。

ノット部以外の芯抜きや裏地をつけず手作業でまとめる場合、素材の選び方は最も重要で特にシルクのタフタや単調な組織の綾織などは相性が良い。逆に繻子織は素材に丸みと反発が出て癖をつけにくいので仕立て映えしない。しかしそれらの特性を解っていて敢えての素材選びも楽しい。ウエイトの軽い、しかし柔らかい癖がつくシルクタフタも良し。モヘア混のスーツ用トロピカルなどは、反発力が強く畳んでも元に戻ろうとして開いてしまうが、そのことがスカーフの様で色気が有りとても良い。厚手のしっかりした襟芯が入ったシャツにプレーンかダブルノットでしっかりと結んだタイの剣先がまどろむように揺れるさまはとても素敵だ。

【 Photo & Story 】

デザイナー/フォトグラファー 森 万恭氏

森 万恭さん
Kazuyasu Mori
東京・新宿生まれ。1977年にベイクルーズの立ち上げに参加。その後、退職するが復職後、エディフィス、エクアション パーソネルなどのブランドを手掛ける。’98年に(株)ワールドと契約しドレステリアを立ち上げ、服のデザイン、ショップの内外装設計や家具デザイン、バイイングコーディネート等を手掛ける。“最後は写真……”と決めていて2016年に契約を破棄し現在は写真家として活動する傍ら、アパレルデザイン、インテリアデザインも継続。好きな言葉は「丁寧」。ワイルドフラワーをこよなく愛す。ポケットビリヤードA級・スリークッションビリヤード4段、ヴィンテージ・ビリヤードキューのコレクター。
Instagram / @mori_photography


次回は……【#由緒正し…そうな上着/#足袋のようにフィットする靴】

[MEN’S EX Autumn 2022の記事を再構成]

今日は何する?何着る?

365DAYS今日のVゾーン

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