150kW級でプレミアムBEVの大容量バッテリーに対応

ポルシェはすでに日本国内のポルシェセンター34拠点に38基、都市型充電インフラとして、虎ノ門ヒルズをはじめ、東京、名古屋、大阪の6拠点に11基、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京に1基を設置しており、今年12月末時点で、ポルシェジャパンとしては41拠点50基へと拡大。アウディジャパンがディーラーネットワークで展開する52基と合わせて、計102基の急速充電器を両ブランドのオーナーは利用できるようになるという。

またアウディでは、全国のディーラーに設置された90kW以下の急速充電器を、2024年までにすべて150kW級の急速充電器に置換。また、新規のディーラーも加えて、今後120店舗への拡大を目指すという。

ポルシェは、2019年にブランド初となる電気自動車タイカンを発表。翌年には国内導入も開始。2021年のグローバルでのセールスは4万台を超え、タイカンは911を超える人気モデルになっている。一方でアウディは、2020年9月、日本市場においてアウディブランド初となる電気自動車 アウディe-tron Sportbackを発表。同年11月にはグランツーリスモのアウディe-tron GT を発表した。そして、今年はコンパクトSUVのQ4 e-tronの国内導入が予定されている。

ポルシェとアウディは共にフォルクスワーゲングループ傘下にあり、かつ、電気自動車に関しては共同開発パートナーでもある。また、タイカンとe-tron GTは姉妹車という成り立ちから考えても、今回のアライアンスは、当然の帰結と言えるだろう。ポルシェジャパン社長のミヒャエル・キルシュ氏と、アウディジャパン ブランドディレクターのマティアス・シェーパース氏からは、365日24時間、150kW級の急速充電器が使える環境をつくりだすことによって、日本のeモビリティを変革させていく、という強い意志が伝わってくる会見だった。
150kWの出力があれば、例えばタイカンを24分で80%(走行距離300km分)まで充電することが可能となる。これならばちょっと“お茶でも”という気になるというものだ。こうした事業を一つのきっかけに、日本でも電気自動車がもっと身近で、使い勝手の良いものになっていくことを期待する。
文・藤野太一 写真・ポルシェジャパン 編集・iconic